油絵で初心者の方が海を描いてみたいと思う時はまず
「波のある海面」に特化して練習されると良いのではないかと思います。
油絵で初心者の方が海や波を描くとなるととても難しい感じがしますが
基本は他のモチーフと同じ3段階の明るさに描き分けるということです。
海の表面を「面」で捉えます。
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油絵で海を描く前にグラデーション作り
まずキャンバスに下塗りとして海のグラデーション作りをしておきます。
海は遠くにいくほどブルーが深く、近くに来るほど明るい緑になってきます。
これをあらかじめ作っておきます。
使う絵の具はファンデーションホワイト、緑がかったブルーであるプルシャンブルー、
エメラルドグリーンです。
油絵で海を描くときはプルシャンブルーを使ってみよう
プルシャンブルーはPruussian blue「プロシャの青」という意味で
フェロシアン化鉄あるいはそれに近い化合物からなる人工顔料で、
人工顔料としては最も早く発明されました。
日本では「ベロ藍」と呼ばれたプルシャンブルーは
18世紀初頭、ドイツ・ベルリンの染料業者が
偶然に発見した科学的な合成顔料で
日本には1747年に初めて輸入されたと伝えられています。
ベルリンの青が省略されて「ベロ藍」となったわけですね。
私も作品のなかで色々なブルーを使いますが
この絵はプルシャンブルーを多く使っています。
白を混ぜると緑がかっているのが目立つ色です。
今では人工顔料が殆どですがこれが輸入された当時は非常に珍しかったと思います。
それまで使われていた植物系の「つゆ草」や渋い青の「本藍」にはない
鮮やかで透明感のある青だったのでそれまでには難しかった海や川、
空の新たな表現を可能にしました。
見たこともない鮮明な色合いに広重や北斎をはじめ
同時代に活躍した多くの浮世絵師達が喜んで使用し
この「ベロ藍」で摺られた浮世絵は当時大流行したので
「ああ,あの青」と私たち日本人には比較的
馴染みのある色ではないかと思います。
(もっと知りたい浮世絵の「今」と「昔」アダチ版画研究所 参照)
ところでブルーは色々な種類があります。
次の3色のブルーを色相環の順番で簡単に分類すると
・紫がかったブルー:ウルトラマリンブルー(ラピスラズリが原料です)
・中間:コバルトブルー(いわゆる群青色)
・緑がかったブルー:プルシャンブルー
といった感じです。
絵具に関しては下記動画を参考にしてください。
ウルトラマリンブルーの横にプルシャンブルーを塗ると
かなり緑がかっていると感じられます。
今回は浮世絵で海の表現に使われていたことと
手前のエメラルドグリーンに馴染むようにこの
緑がかったプルシャンブルーを使っています。
空を描く場合、空のほうにウルトラマリンブルーを使った空色を
使うと空と海のブルーの違いがはっきりして対比的に良いと思います。
油絵具で作る海の基本色
初心者の方の為の色の作り方としては・・
プルシャンブルーに少しずつホワイトを混ぜた色を作っておきます。
エメラルドグリーンと混ぜた色も作っておきます。
ホワイトは乾きの速いファンデーションホワイトを使用します。
ファンデーションホワイトは下塗りの時のみ使用します。
オイルは揮発性のテレピンを使用します。
ファンデーションホワイトとテレピンの組み合わせで
乾きはかなり速くなります。
ざっとしたグラデーションを作っていきます。
この段階ではそれほどきれいなグラデーションにならなくても良いです。
また後から描いていきますので。
筆はラファエルの平筆を使っています。
これはグラデーションを作るのに良いと感じます。
この段階ではこの程度のグラデーションで良いです。
油絵で海(波)を描く前にかたちをトレースする
初心者の方がいきなり波を描くのは難しかもしれませんので
予めA4コピー用紙に描いておいたものをトレースするのが良いと思います。
下塗りのグラデーションが乾いたら波のかたちをトレースしていきます。
波の形を描いていた紙の裏に白のパステルを塗ります。
通常トレースするときは6B鉛筆などを塗りますが今回は
画面がブルーなので鉛筆では見えにくいのでパステルにします。
(チョークでも良いです)
一面に塗ったら余分な粉はゴミ箱に払っておきます。
これを表から赤ボールペンでなぞり描きすると
波のかたちが白く映ります。
鉛筆でトレースした場合はフィクサチーフを描けて止めますが
これはフィクサチーフをかけると飛び散ってしまいますので
かけないようにしてください。
油絵で海(波)を描く手順~明るい部分を捉えていく~
プルシャンブルーにチタニウムホワイトを混ぜた濃淡を作っておきます。
これにエメラルドグリーンを混ぜた色も作っておきます。
このそれぞれにチタニウムホワイトを混ぜた色も作っておきます。
これにペインティングオイルを混ぜてマヨネーズより少し柔らかめにしておきます。
オイルは乾性油を使いますが初心者の方は普通に
ペインティングオイルで良いと思います。
筆はナイロンの丸筆、平筆を使っていきます。
まずは波の明るい部分を線で捉える
まず下地の色にホワイトが混ざった色で
明るく光の当たっている部分を描いていきます。
下塗りの色が変わっていくにしたがってそれにホワイトが混じった色にしていきます。
海の波に光が当たっている部分を面で捉える
海の波に光の当たった明るい「面」を捉えていく感じで塗っていきます。
油絵で海(波)を描くときは中間のトーンに海の色を塗る
明るい部分を捉えたら次に中間のトーンの部分を塗っていきますが
これはまさに下地の海の色そのものです。
それを乾性油で溶いたものでグラデーションの下地の上に
再び塗っていく感じです。
グラデーションを意識して
平筆で馴染ませながら塗っていきます。
平筆は横にすれば細い線を描くことも出来ますし立てれば「面」を
塗ることが出来るので非常に便利だと感じます。
波の明るい部分をもう少し明るくしてみました。
手前はかなりエメラルドグリーンを明るくした感じになります。
油絵で海(波)を描くときは最後に暗い部分を捉える
明るい部分と中間の部分を描いたら次は暗い部分を描いていきます。
下地よりやや暗い色を「面」を意識しながら塗るというよりは
「描いて」いきます。
ここではかなり「波」の動きを意識して描いています。
油絵で海(波)を描くときは仕上げにハイライトを入れる
最後に一番明るく光っている部分(ハイライト)を
入れていきます。
太陽が当たって光っている感じを思いながら描いていきます。
全体を馴染ませて出来上がりです。
まとめ
・初心者の方が海(海面)を描くときはまず海のグラデーション作りをする。
遠景は濃いプルシャンブルー、近景はエメラルドクリーン、中景は中間色にする。
・海の波の面を明るい部分、中間の部分、暗い部分に分けて捉えていく
・全体を3つのトーンに分けて考えるのは他のモチーフと全く同じで
特殊なものではない
・それぞれを「面」で捉える
・全体に馴染ませながら描いていく
・最後に一番光の当たっているハイライトの部分を描く
でした。
参考になれば幸いです。
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