油絵で初心者の方が海の描き方を考えるときはまず
「波のある海面」に特化して練習されると良いのではないかと思います。
油絵で海や波を描くとなるととても難しい感じがしますが
基本は他のモチーフと同じ3段階の明るさに描き分けるということです。
これを「トロアトーン」と言います。
海の表面を「面」で捉える描き方をします。
LINEで親身で丁寧な個別指導、できた作品はユーチューブ(ページ下)で紹介。
LINEで親身で丁寧な個別指導、出来た作品はユーチューブ(ページ下)で紹介
お好きな画材コースのなかに油絵コースもあります。詳しくはお問い合わせください。
無料体験レッスン お問い合わせはLINEから
油絵 海の描き方~まずは海のグラデーション作り~
油絵での海の描き方の手順としてはまずキャンバスに下塗りとして海のグラデーション作りをしておくことです。
海と波は遠くにいくほどブルーが深く、近くに来るほど明るい緑になってきます。
このグラデーションをあらかじめ作るという描き方をします。
使う油絵の具はファンデーションホワイト、緑がかったブルーであるプルシャンブルー、エメラルドグリーンです。
油絵 海の描き方~まずはプルシャンブルーを使ってみよう
プルシャンブルーはPruussian blue「プロシャの青」という意味でフェロシアン化鉄あるいはそれに近い化合物からなる人工顔料で、人工顔料としては最も早く発明されました。
日本では「ベロ藍」と呼ばれたプルシャンブルーは18世紀初頭、ドイツ・ベルリンの染料業者が偶然に発見した科学的な合成顔料で日本には1747年に初めて輸入されたと伝えられています。
ベルリンの青が省略されて「ベロ藍」となったわけですね。
私も油絵作品のなかで色々なブルーを使う描き方をしますがこの絵はプルシャンブルーを多く使っています。
白を混ぜると緑がかっているのが目立つ色です。
今では油絵やアクリル絵の具の顔料などは人工顔料が殆どですがこれが輸入された当時は非常に珍しかったと思います。
それまで使われていた植物系の「つゆ草」や渋い青の「本藍」にはない鮮やかで透明感のある青だったのでそれまでには難しかった海や川、空の描き方ができるようになりました。
見たこともない鮮明な色合いに広重や北斎をはじめ同時代に活躍した多くの浮世絵師達が喜んで使用しこの「ベロ藍」で摺られた浮世絵は当時大流行したので「ああ,あの青」と私たち日本人には比較的馴染みのある色ではないかと思います。
(もっと知りたい浮世絵の「今」と「昔」アダチ版画研究所 参照)
ところでブルーは色々な種類があります。
次の3色のブルーを色相環の順番で簡単に分類すると
・紫がかったブルー:ウルトラマリンブルー(ラピスラズリが原料です)
・中間:コバルトブルー(いわゆる群青色)
・緑がかったブルー:プルシャンブルー
といった感じです。
絵具に関してはページ下記動画を参考にしてください(↓)
ウルトラマリンブルーの横にプルシャンブルーを塗ると
かなり緑がかっていると感じられます。
これも私の油絵作品(全て手描き)ですが紫がかって見えるのがウルトラマリンブルーの濃淡、普通に青っぽいのがコバルトブルーの濃淡、緑がかっているのがプルシャンブルーの濃淡です。
それぞれのブルーが馴染むような描き方をしています。
今回は浮世絵で海の表現に使われていたことと手前のエメラルドグリーンに馴染むようにこの緑がかったプルシャンブルーを使う描き方をしています。
空を描く場合、空のほうにウルトラマリンブルーを使った描き方をすると空と海のブルーの違いがはっきりして対比的に良いと思います。
油絵 海の描き方~海の基本色~
初心者の方の為のグラデーションの色の作り方としては・・
プルシャンブルーに少しずつホワイトを混ぜた色を作っておきます。
エメラルドグリーンと混ぜた色も作っておきます。
ホワイトは乾きの速いファンデーションホワイトを使用します。
ファンデーションホワイトは下塗り、下描きの時のみ使用します。
ファンデーションホワイトはシルバーホワイトと同じ鉛系の顔料が使ってありますのでブルーなどのN系の絵の具と混ぜると黒ずんでくることがありますので混色は下描きのみ、という描き方をすることになっています。
*実際は現代の技術で作られた油絵の具は混色制限は殆ど気にしなくて良いとも言われています。
オイルは揮発性のテレピンを使用します。
油絵の具のシャンブルーは非常に乾きが速いという特徴もあります。
ファンデーションホワイト、プルシャンブルー、テレピンの組み合わせで乾きはかなり速くなるのでこういう下地作りをする描き方が良いと思います。
あとから海(波)の様子を上から描きこんでいきますのでここではざっとしたグラデーションを作っていきます。
この段階ではそれほどきれいなグラデーションにならなくても良いです。
油絵の筆はラファエルの平筆を使っています。
これはグラデーションを作るのに良いと感じます。
この段階ではこの程度のグラデーションで良いです。
油絵 海の描き方~波を描く前にかたちをトレースする~
初心者の方がいきなり海(波)を描くのは難しいかもしれませんので予めA4コピー用紙に描いておいたものをトレースするのが良いと思います。
下塗りのグラデーションが乾いたら波のかたちをトレースしていきます。
海の波の形を描いていたA4コピー用紙の裏に白のパステルを塗ります。
紙の大きさはある程度キャンバスに合わせたものにします。
ここでは同じくらいの大きさにキャンバス地をカットしたものに海を描いていきます。
きっちり合わない場合、残りは想像で描いてみます。
通常トレースするときは6B鉛筆などを塗りますが今回は画面がブルーなので鉛筆では見えにくいのでパステルにします。
(チョークでも良いです)
一面に塗ったら余分な粉はゴミ箱に払っておきます。
これを表から赤ボールペンでなぞり描きすると波のかたちが白く映ります。
鉛筆でトレースした場合はフィクサチーフを描けて止めますがこれはフィクサチーフをかけると飛び散る可能性もあります。
鉛筆でのトレースの仕方は下記ブログをご覧ください。
油絵 海(波)の描き方の手順~明るい部分を捉えていく~
実際に海の表面を描いていきます。
プルシャンブルーにチタニウムホワイトを混ぜた濃淡を作っておきます。
これにエメラルドグリーンを混ぜた色も作っておきます。
このそれぞれにチタニウムホワイトを混ぜた色も作っておきます。
これにペインティングオイルを混ぜてマヨネーズより少し柔らかめにしておきます。
オイルは乾性油を使いますが初心者の方は普通にペインティングオイルで良いと思います。
筆はナイロンの丸筆、平筆を使っていきます。
まずは海(波)の明るい部分を線で捉える描き方をする
まず下地の色にホワイトが混ざった色で明るく光の当たっている部分を描いていきます。
下塗りの色が変わっていくにしたがってそれにホワイトが混じった色にしていくような描き方をします。
海の波に光が当たっている部分を面で捉える描き方をする
海の波に光の当たった明るい「面」を捉えていく感じで塗っていきます。
LINEで親身で丁寧な個別指導、できた作品はユーチューブ(ページ下)で紹介。
LINEで親身で丁寧な個別指導、出来た作品はユーチューブ(ページ下)で紹介
お好きな画材コースのなかに油絵コースもあります。詳しくはお問い合わせください。
無料体験レッスン お問い合わせはLINEから
*1か月無料体験レッスンは「油絵基礎マスターコースプラス」です。
*「お好きな画材コース」の体験レッスンは1回60分となります。
油絵 海(波)の描き方~海の色の中間のトーンの部分を塗る~
海の明るい部分を捉えたら次に中間のトーンの部分を塗っていきますがこれはまさに下地の海の色そのものです。
それを乾性油(ペインティングオイル)で溶いたものでグラデーションの下地の上に再び塗っていくような描き方をします。
グラデーションを意識して平筆で馴染ませながら塗っていきます。
平筆は横にすれば細い線を描くことも出来ますし立てれば「面」を塗ることが出来るので非常に便利だと感じます。
海の波の明るい部分をもう少し明るくしてみました。
海の手前のほうはかなりエメラルドグリーンを明るくした感じになります。
油絵 海の描き方~波を描くときは最後に暗い部分を捉える~
明るい部分と中間の部分を描いたら次は暗い部分を描いていきます。
下地よりやや暗い(濃い)色を「面」を意識しながら塗るというよりは「描いて」いきます。
ここではかなり海の波の動きを意識して描いています。
油絵 海の描き方~波を描くときは仕上げにハイライトを入れる~
油絵で海の波を描く時は最後に一番明るく光っている部分(ハイライト)を入れていきます。
太陽が当たって光っている感じを思いながら描いていきます。
海の色全体を馴染ませて出来上がりです。
まとめ
・初心者の方が油絵で海(海面)を描くときはまず海のグラデーション作りをする。
遠景は濃いプルシャンブルー、近景はエメラルドクリーン、中景は中間色にする。
・海の波の面を明るい部分、中間の部分、暗い部分に分けて捉えていく
・全体を3つのトーンに分けて考えるのは他のモチーフと全く同じで
特殊なものではない
・それぞれを「面」で捉える
・海全体に下地のグラデーションを馴染ませるような描き方をする
・最後に一番光の当たっているハイライトの部分を描く
でした。
参考になれば幸いです。
LINEで親身で丁寧な個別指導、できた作品はユーチューブ(ページ下)で紹介。
LINEで親身で丁寧な個別指導、出来た作品はユーチューブ(ページ下)で紹介
お好きな画材コースのなかに油絵コースもあります。詳しくはお問い合わせください。
無料体験レッスン お問い合わせはLINEから
*1か月無料体験レッスンは「油絵基礎マスターコースプラス」です。
*「お好きな画材コース」の体験レッスンは1回60分となります。
コメント