油絵やアクリル画をキャンバスに描いていると以前に描いた絵を張り替えたくなることがあります。
ですがキャンバスを張ってみたものの皺がよってしまったとかいう経験は無いですか?
ここでは私の経験から行き着いた簡単で失敗のないキャンバスの張り方女性でも無理なくできるキャンバスの張り方を紹介します。
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簡単なキャンバスの張り方ステップ1 道具を揃える
キャンバス張りをするのに適した天候
麻布のキャンバス張りは曇りや雨の湿気の多い日にします。
何故なら麻のキャンバスの布地が自然な湿気で伸びているからです。
こういう時に張っておけばお天気が良くなったときに再び縮もうとする力が働いてピンと張ります。
水彩画の水張りと一緒ですね。
ですが麻の場合は急激に塗れると縮むという不思議な性質も持っています。
なのでキャンバスの裏から何かが当たって膨らんでしまった部分に裏から霧吹きをかけるとピンと張って直ったりしますが、冬場の乾燥した空気の中でパンパンに張っていたキャンバスが湿度の上がった春先や梅雨時にたるんでしまうこともあります。
また今時のキャンバス地は基底剤が膠ではなく水性樹脂糊だったりするのでこれが熱で伸びることがあります。
なので温度と湿度の変化の激しい初夏は注意が必要です。
熱い車の中に置きっぱなしなどしないようにしましょう。
たるんでしまったキャンバスは張り直しをすることになります。
キャンバス張りをするのに必要な道具
キャンバス張りをする前にまず道具を揃えます。
このブログの画像はすべて当教室のユーチューブ「失敗しないキャンバスの張り方」の一コマです。
ここではキャンバス地をガンタッカーでとめていきます。
通常はキャンバスタックスという釘を打ち付けていきますがこの釘を深く打ち付けてしまうと打ち方を失敗してやり直す時や次にそのキャンバスを剥がしたいと思うときに釘を抜くにのとても苦労することになりますしガンタッカーなら打ち方を失敗しても針を抜きやすいと思いますので。
<用意するもの>
・木枠
・ガンタッカー
・定規と鉛筆
・キャンバス張り器
キャンバスプライヤーとはキャンバス張り器のことです。
昔のは鉄でガチガチでしたが今のは挟む部分にゴムがついているのでキャンバス地が破れにくくなっています。
突起の部分を木枠に押し当ててテコの原理で引っ張ります。
・小さいサイズの場合はペンチでも
・金槌(木槌)
・ハサミ
・マイナスドライバー
キャンバスの張り方ステップ2 木枠を組み立てる
私のユーチューブ「失敗しないキャンバスの張り方」ではすでにある木枠を使ってのキャンバスの張り方を説明していますがここでは木枠の組み立て方から解説してみます。
キャンバスというのはそもそも木で出来た枠にキャンバス地を張り付けたもので大航海時代のイタリア、ベネチアで発明されたものです。
帆船の麻布が大量にあったわけですね。
それまでは油絵は板に描かれていたのですが重い、剃ってくる、などの問題があり比較的軽量になる油絵のキャンバスの張り方が開発されました。
木枠は自分で作っても良いのですが市販のものを買う人が殆どかと思います。
木の種類は桐、杉、集成材があります。
一番強いのは杉(茶色)で何度でも張り直しが出来ます。
ここでの木枠(ユーチューブ)は杉で出来ています。
桐はあまり張り直しには向いてないようです。白っぽい色をしています。
集成材で出来た木枠も杉に比べればやや弱くあまり強く引っ張りすぎないほうが良いという難点があります。
木枠は斜めになだらかにカーブしているほうが表です。
油絵をキャンバスに描くときはすこしブカブカとしますよね。
そういう「遊び」が必要なのです。
反対だと木枠の線が絵に出てしまう恐れがあるわけです。
木枠は組み立て式になっていますので全体的に同時進行で木槌で叩きながら組み立てていきます。
金槌しか無い場合はタオルなどの緩衝材を当てて打ち付け、全てきっちり入り込んでいるかどうか確認します。
一通り形が整ったら内側の角が全て90度になっているかどうかを確かめながら全体を打ち付けて出来上がりです。
簡単なキャンバスの張り方ステップ3 キャンバス地をカットする
キャンバスを張る前に形を描いておく
油絵のキャンバスの張り方は2種類あります。
・横張り:キャンバス地を木枠の側面で留めます。
額縁に入れることを想定したキャンバスの張り方です。
・裏張り:キャンバス地を木枠の裏面で留めます。
額縁に入れずに、もしくは角箱というフレームに入れて側面まで見せる描き方をする場合にこのキャンバスの張り方をします。
ここでは横張りの簡単な張り方を解説します。
初心者の方はこのほうが成功しやすいと思います。
キャンバスを横張りする場合も裏張りする場合も縦横木枠の厚み+αの幅を加えた長さで切り取ります。
横張りの場合は2~3㎝、裏張りの場合は4㎝くらいです。
キャンバスのサイズが大きくなるほど木枠の厚みが増すのでこの幅も大きくなります。
その幅の内側にキャンバスの形を鉛筆で描いておきます。
線はキャンバスの表に引きますが張るときに引っぱるので側面に移動します。
裏張りで側面を見せる場合でも側面には絵の具を塗ることが多いと思いますので表に線を引いておいても構わないのですが塗らない場合はこの線は引かないようにします。
この木枠の線が無いとキャンバス張りに慣れない人は張っている途中でずれてくることがあります。
なので面倒なようでも予め線を引いてキャンバス張りをするのが失敗しないためのポイントのひとつと言えます。
キャンバス地をカットする
鉛筆で描いた形の外側(内側が木枠の形、外側が折り込み幅を加えた形)をハサミでカットしていきます。
簡単なキャンバスの張り方ステップ4 キャンバス地を木枠に仮止めする
木枠に基準線を書いておく
キャンバス地を木枠にガンタッカーで張っていく前に押しピンで仮留めをするのですが、その前に木枠に予め釘を打ち込むための基準線を書いておきます。
まず木枠の4辺の真ん中、またその真ん中もしくは3等分したところ、、という風に印をつけていきます。(4辺に同じように力が入るようにするためです。)
慣れてくるとこの基準線が最小限の数になります。
木枠に張る前にキャンバス地を木枠の(鉛筆の)線に沿って折り曲げておきます。
これでキャンバス地がカパッと木枠に被さるようなかたちになります。
一応被せて合わせてみてから仮留めをしていきます。
木枠にキャンバス地を仮留めしていく
木枠にキャンバス地を被せたら平べったい押しピンで仮止めしていきます。
張っていくうちにずれてくることを防ぐためです。
まずは真ん中にガンタッカーを打つであろうそのその左右に押しピンをさして金槌で叩いて軽く入れておきます。
次に反対側も同じように押しピンを入れておきます。
次に側面も同じように真ん中にガンタッカーを打つであろうその左右に押しピンをさしておきます。
その反対側も同じように押しピンをさしておきます。
縦横どちらかの端(四隅)もできれば留めておきます。
これで仮止めができました。
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簡単なキャンバスの張り方ステップ5 キャンバス地を木枠に固定していく
次はいよいよキャンバス地を木枠に固定していきます。
通常はキャンバス張り器を左手に持って左手でキャンバス地を引っ張った状態で右手で釘(キャンバスタックス)を刺し、次に左手で釘を支えながら右手に金槌を持って叩くという作業になります。
ですが女性は男性ほど力がないのでまず右手にキャンバス張り器を持って右手でキャンバスを引っ張ります。
まずはキャンバスの中央から留めていく
まず最初にキャンバスの中央にガンタッカーを打っていきます。
キャンバス(木枠)の縦、幅的には短いほうの辺の真ん中から留めます。
何故なら、長い距離を引っ張るほうが余計力が必要になるからです。
ぎゅーっと引っ張って左手で押さえて右手をガンタッカー(ホビーホチキス)に持ち替えてまずは最初の一点を留めます。
次に反対側も同様にして2点目を留めます。
この時、鉛筆で描いた線がどちらも同じくらいはみ出すように引っ張ります。
それで同じくらいの力でキャンバス地を引っ張ったということになります。
ここでキャンバス地を引っ張る力の入れ方に差があると出来上がったとき端のほうに皺がでたりします。
すると最初からやり直しということになります。
次は横の長いほうの辺をこれも中央を留めて反対側も留めていきます。
キャンバスの張り方で大事なことはこの時点でキャンバス地に菱形が出来ているかどうかです。
出来ていればこのキャンバス張りはほぼ成功に近いです。
キャンバス地の菱形を広げていく
キャンバスの張り方は中央を決めたあとは端からという張り方もありますが私は中央からこの菱形を段々広げていくという張り方をします。
ガンタッカーで留める度に押しピンは外していきます。
小さいキャンバスの場合くぎ抜きで引っ張りながらやるという張り方もあります。
力強く引っ張り過ぎるとキャンバス地が破れる恐れもありますがキャンバス張り器より狭い部分の仕事がし易いと感じます。
キャンバスの中央から段々端にいくにしたがって対極との距離が長くなるからか?余計に力が必要になるような気がします。
ここで引っ張る力が弱いと皺の原因になります。
力が弱いかどうかは鉛筆の線が同じように木枠の端からはみ出しているかどうかが基準になります。
端から端まで同じように2ミリはみ出している、、となるような張り方が理想です。
仮り留めの押しピンを外しながら縦面から横面と菱形を広げていきます。
その都度対極の地点を留めていくのが理想ですが大型のキャンバス(100号など)になるとそれも大変なので中心から端に向かって近いところをいくつか留めてから、という張り方もあります。
その都度ちゃんとした張り方が出来ているのを確かめながら端に向かって張っていきます。
やっていくに従って段々太鼓のように張った面積が広がっていきます。
皺にならないようなキャンバスの張り方をするのは結構難しいものがありますから最初は小さいキャンバス(4号か6号程度)で練習されることをお勧めします。
当然のことながら大きくなるほどキャンバスの張り方は難しくなります。
キャンバスの端の始末をする
キャンバスの最後の端の部分を留める前に端の始末をします。
端の部分は同じ方向に折り曲げるようにします。
特に裏張りをする場合はキャンバスの側面が見えるので側面に折り畳み部分がこないように、すっきり真っすぐになるようにします。
マイナスドライバーできっちり入れ込むときれいに入り込みます。
キャンバスの「角を決める」感じです。
きっちりと入れ込んだら両方の側面のキャンバスの折り込み部分2つ一緒にギュッと掴んでガンタッカーで留めます。
ここで隣の側面の部分がたるまないように一緒に引っ張らないといけないのでここがちょっと難しいです。
大型になってくると側面の端をきっちり決めてから折り込むほうだけを引っ張る張り方をします。
キャンバスに皺のない張り方が出来ていてパンパンに張っていれば成功です。
キャンバスの表面にシワがでたら
簡単なキャンバスの張り方をしてみて表面にシワが出た場合はその付近の力が弱かった可能性がありますからその部分のタッカーの針を抜いて張り器で引っ張ってタッカーを打ち直します。
それでも直らなかったら残念ながら最初からやり直しということになります。
でも最初にきれいな菱形が出来ていてシワが出来ないように広げていく張り方をすればほぼ成功することが多いと思います。
まとめ
・キャンバスの張り方には横張りと裏張りの2種類の張り方がある
・失敗しない簡単な油絵のキャンバスの張り方の要点は
①キャンバスを張る前にキャンバス地の表に木枠の形を鉛筆で描いておく
余白(折り込み部分)は木枠の厚みによるが横張りで2~3㎝、裏張りで4㎝ほど。
②木枠に予め留めるところの基準線を入れておく
③木枠にキャンバス地を固定する前に押しピンで仮留めする
④女性がキャンバス張りをするときはガンタッカーがやりやすい
⑤ガンタッカーの針ほうが取りやすい
⑥固定していくときはまず中央から菱形を広げていくように
⑦端の始末は同じ方向に
でした。
参考になれば幸いです。
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