油絵具の白は色々な種類があり、初心者の方はどれがどうなのか?とぼんやり思ってあるかもしれませんがその色味の違いは黒を半々に混ぜてみると分かり易いです。
このブログでは油絵具の主な5種類の白とその違いや特性について解説してみます。
またここではファンデーションホワイトとクイックドライングホワイトも加えて全部で7種類の白の様々な特性の違いを考察してみます。
ややこしいと思われるかもしれませんが最後に種類と違い超簡単にまとめていますので是非最後まで読んで参考にしてください。
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油絵の具の主な白は5種類
現在一般的に使われている油絵具の主な白は下の5種類です。
・シルバーホワイト
・ジンクホワイト
・チタニウムホワイト
・パーマネントホワイト
・セラミックホワイト
この順番は発明開発された順番でもあります。
因みに私が油絵を始めた約40年前はパーマネントホワイトとセラミックホワイトはありませんでした。勿論クイックドライングホワイトも。
あったのは多分上の3種類だけで当時の油絵の初心者セットには(メーカーは忘れましたが)たしかジンクホワイトが入っていたと記憶しています。
同じ歳の友人も「ホワイトといえばジンクホワイトと思って種類とか違いは何も考えずに使っていたような気がする」と言っています。
その後ジンクホワイトやシルバーホワイト、チタニウムホワイトの問題点を克服すべく考えだされたのがパーマネントホワイトです。
最近は「パーマネント」と名の付く絵の具が増えてきたと感じます。
「永久に」保たれる色味、表面の状態、、といった意味合いだと思います。
なので初心者の方はとりあえずこのパーマネントホワイトを使われることをおすすめします。
特に問題なく使うことができます。
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また他にこの2種類がうちのアトリエにはあります。
・ファンデーションホワイト(地塗り~中描き用)
・クイックドライングホワイト(速く乾燥させるためのホワイト)
クイックドライングホワイトは最も新しく開発されたホワイトです。
上記の7種類について色々な視点からその違いを見てみます。
油絵の具 白の種類と違い~色味の違いは黒を半々に混ぜてみる~
油絵の具の白の色味の違いは白そのものを眺めてもわかりづらいと思いますが黒の油絵の具(アイボリーブラック)を同量混ぜてできた色味を比較するとその色みや着色力などの違いが分かります。
上はベージュの下塗りをした油絵用キャンバスに7種類の油絵の具の白をオイルで薄めることなくチューブから出して直接筆で塗ったものです。
右はそれぞれの白にほぼ同量(正確に量ったわけではありません)のアイボリーブラックをやはりオイルで薄めることなくパレット上でナイフで混ぜて、それを筆につけて塗ってみたものです。
こうやってできたグレーを比べてみると・・
たとえばシルバーホワイトはやや黄みがかった白といわれますが同量の黒を混ぜてみると少し茶系(暖色系)のグレーになります。
またジンクホワイトとセラミックホワイトはやや青みがかった白と言われますが同量の黒を混ぜるとやや寒色系のブルーがかったグレーになります。
また白色度が高く着色力の非常に強いチタニウムホワイトに黒を同量混ぜると明るいグレーになります。黒が負けている感があります。
またジンクホワイトとパーマネントホワイトはわりと白みが優しい感じがします。
*パーマネントホワイトは黒の分量が少し多かったかもしれません。
やり直した結果はこれです。
ジンクホワイトよりは明るくなりました。
白みが優しいと混ぜる相手の明度が良い感じで上がるということになります。
クイックドライングホワイトは透明のアルキド樹脂がかなり混ぜてあるのでカバー力にはあまり期待できないですね。
油絵の具 白の種類と違い~顔料の違い~
油絵の具は顔料の粉と展色剤を混ぜて作られています。
油絵の具の展色剤は乾性油です。
アクリル絵の具の展色剤はアクリル樹脂です。
同じ顔料でも展色剤の違いで異なった特性がでてきます。
ここでそれぞれの白の顔料の種類をみてみましょう。
・シルバーホワイト 鉛白(塩基性炭酸鉛)
・ジンクホワイト 亜鉛華(酸化亜鉛)
・チタニウムホワイト チタン白(酸化チタン)
・パーマネントホワイト チタン白(酸化チタン)
・セラミックホワイト チタン酸ストロンチウム
・ファンデーションホワイト 鉛白(塩基性炭酸鉛)+チタン白
・クイックドライングホワイト チタン白(酸化チタン)
ではそれぞれの白色顔料の特徴を簡単に見てみましょう
油絵の具の白に使われている顔料の特徴と違い
鉛白は油絵の具が発明されたときから使われてきた白の顔料
シルバーホワイトに使われている顔料の鉛白は古代から使用されてきた白の顔料です。
鉛白の発色は人間の肌色を大変美しく見せるためルノアールなど女性の肌を描くのに多様した画家が多くいましたが、洋の東西を問わずおしろいの成分として使われてきました。
毒性があるので当然おしろいによる「鉛中毒」も多数起きていましたが禁止されてもなお使用され続けました。
展色材である乾性油の酸化重合を促すことと、絵の具化に際して要求される油量が少ないため、乾性油の影響を受け難いことなどで乾燥性が良いです。
なので下塗り~中描き用のファンデーションホワイトにも主にこの鉛白が使われています。
亜鉛華(酸化亜鉛)は近世から油絵の具に使われてきた白の顔料
19世紀になってフランスで製造され始めた顔料で無毒のため広く使われるようになりました。
ジンクホワイトの顔料として使用されている亜鉛華は日常生活の中で広く使われています。
紫外線散乱効果があり化粧品では日やけ止めクリーム、ボディパウダー、スキンケア用品などに使用されています。
ということは人体に害は無いということですね。
チタン白(酸化チタン)は白の度合いが最強
チタニウムホワイトの成分であるチタン白(酸化チタン)は「チタン鉱石」から生産され、優れた白色度と隠ぺい力(素地を覆い隠す力)、明るい発色力、均一に分散する性質などから様々なものを明るく彩る白色顔料として広く一般的に使用されています。
顔料用途としては住宅や自動車の塗料、冷蔵庫、洗濯機等のプラスチック類、化学繊維の艶消し剤など。(日本酸化チタン工業会ホームページより)
最近作られたパーマネントホワイトにもこの酸化チタンが使われていますがチタニウムホワイトに比べればその白みはかなり控えめになっていてかなり違いを感じます。
ファンデーションホワイトにも若干使われているようです。
また地塗り剤のジェッソにもこの酸化チタン(チタニウムホワイト)が使われています。
チタン酸ストロンチウムでセラミックホワイトが作られる
チタン酸ストロンチウムはストロンチウムとチタンの複合化合物でセラミックホワイトの顔料です。
チタニウムホワイトとの違いは顔料の微妙な違いによるものかもしれません。
油絵の具 白の種類 ~展色材の違い~
白の油絵の具の種類と性質の違いは顔料と展色材の組み合わせによります。
白の油絵の具の場合展色材は主にポピーオイルが使われます。
これはリンシードオイルに比べ黄変の心配が殆ど無いためですがファンデーションホワイトは乾燥の速さと下地としての強さが求められるためリンシードオイルが使ってあります。
油絵用キャンバスににもファンデーションホワイトの地塗りがしてありますので黄変の為少し色づいた感じになっています。
アクリル用キャンバスとの違いはこのへんですね。
クイックドライングホワイトは速乾燥メディウムであるアルキド樹脂が使ってあります。
シルバーホワイト ポピーオイル
ジンクホワイト ポピーオイル
チタニウムホワイト ポピーオイル
パーマネントホワイト ポピーオイル
セラミックホワイト ポピーオイル
ファンデーションホワイト リンシードオイル
クイックドライングホワイト アルキド樹脂、ポピーオイル
油絵の具 白の種類 ~隠ぺい力の違い~
私はここ2~3年ほど油絵の具の白×黒の2色で絵を描いてきました。
微妙なグレーで表現するわけですがまず最初はファンデーションホワイトもしくはアクリルやジェッソのグレーで下塗りをします。
そして1回目描き(塗り)をして乾燥させた後に2度目描き(塗り)をします。
その時には1回目塗りのときに間違った箇所を修正しながら描いていくのですがこの時に活躍するのがチタニウムホワイトです。
この絵の場合、一色でも色味が違うと顔が違ってきますので強力なカバー力を発揮してくれるチタニウムホワイトは他のホワイトと違い私にとっては必需品となっております。
また少量で白の役目を果たしてくれるので私にとっては効率的で黒を基調に考えることができます。
油絵の具のカバー力(私のなかでは修正力)は「隠ぺい力」という言い方をされます。
ホルベインによると油絵の具の隠ぺい力の違いは
強い順に
チタニウムホワイト
ファンデーションホワイト
セラミックホワイト
シルバーホワイト
パーマネントホワイト
ジンクホワイト
クイックドライングホワイト
となっています。
油絵の具 白の種類 ~透明性の違い~
油絵の具の側面を見ると半透明、不透明などと書いてあります。
油絵の具は色によって透明度が違うのですが当然白にもこの違いがあります。
透明度の強い順に
透明→半透明→半不透明→不透明
となります。
この表記の違いを油絵の具の白(ホルベイン)の種類別にみてみます。
シルバーホワイト 半透明
ジンクホワイト 半透明
チタニウムホワイト 不透明
パーマネントホワイトEX 半透明
セラミックホワイト 半透明
ファンデーションホワイト 半不透明
クイックドライングホワイト 半不透明
という表記になっていますが私の印象ではクイックドライングホワイトは透明度がかなり高い種類のような感じがします。
ホルベインサイトにも「ジンクホワイトに近い透明性がある」と書いてあります。
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油絵の具 白の種類 ~青みの違い~
一般にシルバーホワイトは温かみのある白、ジンクホワイトとセラミックホワイトは青みがかった白と言われますが、実際ベージュの下地にそのまま乾性油で薄めることなく直に塗った感じを見ても何となくそんな感じはします。
油絵の具の白は「青色白色度」という種類分けがありはっきりとした数値で表されています。
蛍光灯でも青みがかった光のほうがより白く明るく感じられたりしますが油絵の具でも青みの強い種類のほうがより白く感じられるという側面ががあります。
数値の高い順に並べると
セラミックホワイト 81.6
ジンクホワイト 79.4
シルバーホワイト 77.7
チタニウムホワイト 77
チタニウムホワイトやそれを基調に作ってあるパーマネントホワイトやクイックドライングホワイトも温かみのある白の種類のほうに分けられます。
寒色系の油絵の具の明度を微妙に上げたい場合はセラミックホワイトが良いかもしれません。
(私はまだ実際にセラミックホワイトを自分の作品で使ったことはないのですが)
最終仕上げ段階ではジンクホワイトもアリです。
油絵の具 白の種類 ~着色力の違い~
油絵の具の白の「着色力」とは他の色と混ぜたときに相手の色を白くする度合いです。
ホルベインによると着色力は強い順に
チタニウムホワイト
パーマネントホワイト
セラミックホワイト
ジンクホワイト=シルバーホワイト
クイックドライングホワイト
となっていますが私が試した結果ではパーマネントホワイトとセラミックホワイトの順番が違ってました。パーマネントホワイトの黒の分量が少し多かったのかもしれません。
なのでもう一度やり直してみましたがやはりパーマネントホワイトの着色力はそれほど強くないような気がします。
ということは逆に言えば混色がやりやすいということですね。
油絵の具 白の種類 ~白さの違い~
油絵の具の「白さ」の度合いを「白色度」といいます。
ホルベインによると
シルバーホワイト 普通
ジンクホワイト 普通
チタニウムホワイト 高い
パーマネントホワイト やや高い
セラミックホワイト 普通
クイックドライングホワイト やや高い
となっていますがこれは計器測定値で、目で見るとセラミックホワイトが一番純白に近いとも書いてあります。
各ホワイトには数値では計れない魅力があります。
油絵の具 白の種類 ~乾燥度の違い~
乾燥の速さも油絵の具のチューブに表示してあります。
乾燥の速さの違いを私が持っている白の油絵の具で比べてみると
シルバーホワイト 2日前後
ジンクホワイト 4日前後
チタニウムホワイト 4日前後
パーマネントホワイト 4日前後
セラミックホワイト 5日前後
クイックドライングホワイト 1日前後
ファンデーションホワイト 2日もしくはそれ以下
となっています。
油絵の具の白の乾燥の速さは気温による違いが大きいです。
夏場は速く、冬場はぐっと遅くなります。
これは展色剤である乾性油の違いも大いに関係しています。
油絵の具 白の種類 ~耐光性の違い~
油絵の具の耐光性とは紫外線などから受ける影響の度合いのことをいいます。
耐光性は通常絵の具のチューブに★や*の数で表示されています。
クサカベによると
★5 殆ど変色しない色
★4 直射日光でわずかに変色する色
★3 通常の展示状態で変色しない色
★2 経時的に劣化しやすい色
★1 確実に変色する色
油絵の具の白の耐光性の違いは私が持っている絵の具の表記によると
シルバーホワイト ★3
ジンクホワイト ★4
チタニウムホワイト ★4
パーマネントホワイト ★4
セラミックホワイト ★4
クイックドライングホワイト ★4
ファンデーションホワイト ★3
ファンデーションホワイトはシルバーホワイトと同じ顔料の鉛白が使ってあるので耐光性に違いは無いようです。
油絵の具 白の種類 ~混色制限の違い~
混色制限とは他の色と混色したときに変色の恐れがあることをいいます。
シルバーホワイト 硫黄系絵の具(Nの記号のある絵の具)との混色に注意
ジンクホワイト なし
チタニウムホワイト なし
パーマネントホワイト なし
セラミックホワイト なし
クイックドライングホワイト なし
ファンデーションホワイト 硫黄系絵の具との混色に注意
油絵の具 白の種類 ~黄変度の違い~
油絵の具はどんな種類でも時間が経つとある程度の黄変は免れないと言われています。
これは乾性油が光の不足に応じて黄ばむ性質を持っているからでその性質が一番強いのが亜麻仁油(リンシードオイル)です。
ホルベインによると
シルバーホワイト やや高い
ジンクホワイト 低い
チタニウムホワイト 低い
パーマネントホワイト 低い
セラミックホワイト 低い
クイックドライングホワイト 低い
ファンデーションホワイト 高い
ファンデーションホワイトはリンシードオイルが使ってあるので変色しやすいという性質があります。
黄変したものは太陽光に当てるとある程度改善すると言われています。
油絵の具 白の種類 ~毒性の違い~
シルバーホワイト あり(鉛化合物による中毒)
ジンクホワイト なし
チタニウムホワイト なし
パーマネントホワイト なし
セラミックホワイト なし
クイックドライングホワイト なし
ファンデーションホワイト あり(鉛化合物による中毒)
シルバーホワイトとファンデーションホワイトが毒性ありとなっていますが通常の使い方をして
終わったら手を石鹸で洗うなどすれば問題はありません。
子どもが口に入れないように、目に入らないように注意しましょう。
油絵の具 白の種類 ~それぞれの白について~
今度はこれまでみてきた白の特性を白の種類別にみてみます。
シルバーホワイト
一番歴史の古い白の油絵の具で古典的な重厚感があります。
顔料が鉛白がでありながら何故「シルバーホワイト」というのか長年疑問でした。
銀(シルバー)が原料でないにも関わらず。
それは昔この白しかなかった時代に「銀のように白い」と思われていたからのようです。
銀だったら寒色系のようなイメージがありますが暖色系です。
絵具の色の名前の由来は実に様々で面白いですね。
鉛白の特徴により乾燥が速く強靭な塗膜を作るのでシルバーホワイトを基調にファンデーションホワイトが作られます。
硫黄系の絵の具と混ぜると硫化物を生成し黒く変色しますので混色制限があります。
硫黄系の絵の具はN記号がついています。
コバルトブルーヒュー、ウルトラマリンライト、ウルトラマリンディープなどです。
ですがクサカベのサイトによると昔の顔料は不安定な物質を含んでいたので変色することもあったが現代の非常に高い精度技術の顔料ではその心配は殆ど無い、とのことです。
それでもホルベインによるとやはり混色制限はあるとのことです。この違いは何なのでしょうか?汗・笑
多分問題ないけどやはりN記号のものとの混色は避けたほうが無難ということかもしれません。
それでもシルバーホワイトのこだわりの愛好者は多数おられるようです。
ここぞというところにピンポイントで使ってあるのかもしれません。
ルノアールも違いを知って使い分けていたのでしょうか?
ジンクホワイト
19世紀に作られた白の油絵の具で長年使われてきました。
透明感のある寒色系の白で混色したら程よく明度を上げられるという特徴があります。
ですが下描きや中塗りに使用すると上層部に亀裂が起きる可能性があります。
これは40年以上前に初心者で何も知らなかった私が当時の初心者セットに入っていたジンクホワイトを使って最初から最後まで描いた静物画です。
一見問題はないように見えますがよく見ると右の赤丸で囲んだところに少し亀裂が入っています。
ジンクホワイトを地塗りや下描き、中描きに使用すると上から塗った絵の具に亀裂が入ったり剥離の原因になったりするので注意が必要です。
仕上げ専用です。
チタニウムホワイト
強力な白なのでハイライトやインパスト技法など光が当たったところを表現するのに適した白です。
暖色系で20世紀になってから開発されました。
私は修正用も兼ねてチタニウムホワイトを使っていますが相手の色を食ってしまう狼色とも言われ混ぜ方に注意が必要です。
乾燥が遅いので下描きにはあまり向いてない種類の白と思いますが揮発性油を使えば良いかと思います。
パーマネントホワイト
シルバーホワイト、ジンクホワイト、チタニウムホワイトの欠点を補うべくわりと最近作られた白の油絵の具です。
最初から最後までこれで描いていればほぼ間違いはないという欠点のない白でオイルで言えばペインティングオイルのような感じです。
乾燥は速くないので最初は揮発性油で溶いて描くことをお勧めします。
パーマネントホワイトEXとSFの2種類があります。
額のまつえだサイトによればSFは安心して使えるベストセラーとのことで展色材はポピーオイルです。
EXはサフラワーオイルが使ってあり比較的リーズナブルで習作用です。
うちの教室ではEXを使っています。
セラミックホワイト
ホルベインが1990年に開発した独自のホワイトで寒色系で「現代科学が産んだホワイトの傑作」だそうです。
青みでやや不透明性のあるホワイトで適度な着色力と隠ぺい力があり、安定した性能、混色、上塗りに最適とのことですが乾燥がやや遅いです。
ファンデーションホワイト
シルバーホワイトと同じ鉛化合物を成分としているので扱いには注意が必要ですが通常の扱いで特に問題はありません。
リンシードオイルを使ってあるので堅牢な画面を作り、乾燥も速いのでグレージング技法を使うときの下地作りに向いていると思います。
またメーカーによっては(外国製だったか記憶にないのですが)意外と脆いこともあるので逆にそれを利用して盛り上げマチエールを作ったときにやり直すことができたりします。
ファンデーションホワイトで下塗りをするときにN記号の絵の具と混ぜたとしても、それが乾燥したあとに上層部分を重ねていけば下に塗った部分が空気やガスに触れることはないので特に問題はないと思います。
クイックドライングホワイト
とにかく乾燥が速いので受験生などは助かっているようです。
アルキド樹脂がかなり混ぜてあるので着色力と隠ぺい力が弱く使った感じは何だか油絵の具ではないような感触もありますが着色力が弱いということは逆にきれいな色が作れるということでもありますので使い方に慣れると良いのかもしれませんね。
ですが乾きが速い分グラデーションはやりにくくなります。
油絵の具というのは乾きが遅いのが欠点でもありそれが逆に長所でもあります。
油絵が発明されたことでそれまでの水性の絵の具ではやりにくかったグラデーション表現が油の乾きの遅さでやりやすくなったので表現の幅がぐっと広がったという歴史があります。
一番グラデーションがやり易いのは一番乾きの遅いポピーオイルだと私は思っています。
描いている途中「乾かない安心感」でゆっくり制作を進められるという側面もありますね。
私などは微妙なグレーをまずパレットの上で作ってから制作を始めますが乾きが速いとこれが難しくなります。
なので通常はクイックドライングホワイトを使うことは殆どありません。
まとめ
油絵の具の白の種類と違いを色々な側面から見てきましたがここで使った7種類の白の特徴と使い方をごく簡単にまとめてみます。
黄みがかった白で黒とまぜると暖色系のグレーができる白のことを「暖色系」、青みがっかった白で黒と混ぜると寒色系のグレーが出来る白のことを「寒色系」ということにします。
・シルバーホワイト 暖色系。乾燥が速い。毒性あり。硫黄系の絵の具との混色制限あり。
・ジンクホワイト 寒色系。着色力が弱くきれいな色味を作ることが出来るが上塗り専用。
・チタニウムホワイト 暖色系。最強の着色力と隠ぺい力で少量で白の役目を果たす。
・パーマネントホワイト 暖色系。上3つの欠点を補う万能ホワイト。初心者におすすめ。
・セラミックホワイト 寒色系。万能ホワイトだが乾燥は遅い。値段高め。
・クイックドライングホワイト 暖色系。アルキド樹脂の力で驚きの速さで乾いていく。
・ファンデーションホワイト 暖色系。乾燥が速い。下塗り~中塗り専用。
以上参考になれば幸いです。
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