油絵を描いたあとにニスかけって必ずやらないといけないものなのでしょうか?
あなたはニスは塗るほうですか?それとも塗らないほうですか?
私の感じでは趣味でただ描いてみるという段階の人はそれほど意識されてないのではないかと思われます。
これに対してプロとしてやっていく場合は作品が長年のうちに変色したりするのを防ぐという意味でニスかけを意識することが多くなるのではないかと思われます。
ここでは私のユーチューブの画面をキャプチャーして油絵のニスかけの意味や塗り方を解説していきます。
このブログ最後にユーチューブを載せてますので是非ご覧ください。
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油絵にニスは塗らない?
本当に油絵にニスは塗らないで良いのか?
そもそも油絵は必ずニスを塗らないといけないという決まりはありません。
そのままでも十分良いものです。
ただ油絵具というのは色(顔料)によって光沢に相当ムラがあります。
例えばブラックであればアイボリーブラックは結構光沢があるのですがランプブラックやピーチブラック、マルスブラックになるとかなりマットな感じです。
ここで使っている赤もルーブルというメーカーのルージュプリミエールというものですが
全く光沢が無くマットな感じです。
また油絵の具というのは顔料によっては空気中のガスと反応して黒ずんでくるものもあります。
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油絵にニスを塗る意味
上のような理由で画面を保護する意味でニスかけをするということですね。
理由をまとめると
①完全に空気をシャットアウトすることでガスと顔料の反応を防ぐ
②完全に空気をシャットアウトすることでオイル(特にリンシードオイル)の黄変を防ぐ
③光沢を均一にする
④表面についた埃や汚れを取り易くする
⑤高級感がでる
油絵のニスの種類
そもそも一口に油絵のニスといっても色々な種類があります。
①一般にタブローと言われている全く空気を通さなくなるニス
一番本格的なニスで昔から使われてきました。
ダンマル樹脂で出来ていて塗るとガラスのような光沢がでます。
マットな部分もこれを塗れば光沢があるように見えます。
②ワニスと同じ種類だが空気を通すニス=ルツーセ
ビンには画面修正用と書いてありますがタブローと同じくらい光沢があります。
タブローとの違いは空気を通すということです。
塗膜に小さな空気穴が開いていると思ってください。
これを塗ったあとも絵の具の中で酸化重合が進むということですね。
塗り方から塗った後までやり方はタブローと全く一緒です。
③合成樹脂でできたタブロースペシャル(吹き付けタイプと塗るタイプがある)
搬入などで急ぐときは取り合えずこれを吹き付けておきます。
タブローは平置きで塗りますがこれは立てて垂直に吹き付けます。
あまり吹き付けすぎると垂れてきますので注意が必要です。
刷毛で塗るタイプもありますが乾きは速いです。
吹き付けタイプは光沢の調整にはちょっと弱い感じがします。
④逆に画面のつやを消すマットタブロー
画面の艶を完璧になくしてマットにしたい時もあります。
そういうときはマットタブローというのを吹き付けます。
艶を消したい部分だけにかけることもアリです。
これで光沢が均一になります。
油絵にニスを塗るタイミング
そもそも油絵のニスっていつどのような塗り方をすれば良いのでしょうか。
これは油絵の具が乾く理屈を理解しておかなければなりません。
そもそも油絵具というのは水彩絵の具やアクリル絵の具と違って中の水分が蒸発して乾いているわけではありません。
油絵の具というのは顔料の粉を乾性油で溶いたものです。
この乾性油というのが空気中の酸素と酸化重合することによってじわじわと乾いていくので表面は乾いているように見えても中のほうは乾いてないということになります。
この中のほうが乾いていない状態(まだ絵の具が強固になってない状態)で本格的なニス(タブロー)をかけてしまうと樹脂成分が入り込んで絵がぐじゃぐじゃになったり後々亀裂が入ったりしますので注意が必要です。
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なので本格的なニス「タブロー」の塗り方としてはその時期が重要ということになります。
薄塗りの絵だと半年後、厚塗りをした絵の場合は1年かもっと後にしたほうが間違いないです。
私は作品の完成した日にちを付箋に書いて作品の裏に貼っておくことにしています。
油絵の具の酸化重合による乾燥の速度は夏場は速く、冬場は遅くなりますので、それによっても違ってきます。
タブロースペシャルは指触乾燥すれば使用OKです。
が、あまりにも早いとやはり若干表面が崩れることもあります。
早すぎると思うときは軽く吹き付ける程度にしておくのが良いと思います。
やはり油絵の制作はなるべく余裕をもって、、ということですね。
合成樹脂で出来ていますが油絵でもアクリルでも使うことができます。
ルツーセも指触乾燥の状態で塗ることができますがあまり早い段階で塗ってしまうと絵の具がとけだしてきますから注意が必要です。
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油絵のニス(タブロー)の塗り方
ニスを塗る前に油絵の表面の埃を取る
では実際のニスの塗り方を解説していきます。
まずは少し水で湿らせた柔らかい布で絵の表面の埃を取ります。
その後乾いた柔らかい布で拭きます。
これは忘れがちですが大事な工程です。
埃を一緒に塗り固めてしまわないようにしましょう。
意外と目立ちます。
ニスを瓶から写して入れる容器(刷毛の入る口の広いものや平らなもの)の埃もきれいに取っておきます。
これはルツーセやタブロースペシャルを使うときでも同じです。
筆は柔らかめの平筆を使います。
名村の平筆Aタイプが毛が取れにくいのでお勧めですがそうでない場合は毛がとれたときの為にピンセットを用意しておきます。
そして塗る前にヤスリの上でしごいて取れそうな毛を予め取っておきます。
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フレームに入れないタイプの油絵は周りをマスキングしておく
ニスかけは平に置いた状態でやりますから端のほうが側面に流れていきます。
額に入れるタイプの絵だったら気にすることはないのですが額に入れない現代アート系は側面にマスキングテープを貼っておきます。
ニス(タブロー)が濃いときはテレピンで少し薄める
タブローはどろっとしていますのでテレピンで少し薄めると塗り易くなります。
タブローを剥がしたいときもテレピンやペトロールで取ることが出来ます。
テレピンで薄めるときは長めのピペットでテレピンを取って慎重に薄めるようにします。
このピペットは「モノタロウ」で購入しましたが100円ショップのセリアの化粧品のところにもっと小ぶりなのが数本入ったものが売ってます。(2024年現在)
あると色々便利です。
タブローの瓶の蓋の部分はきれいに拭いておきます。
これはとても重要です。
あとからガチガチに固まって蓋が開かなくなることがありますので。
まずは一番マットな部分からニスかけしていく
まずは絵の中の一番マットな部分から小さめの平筆でニスを塗り、15分ほどおいて乾かします。
油絵全体にニスかけしていく
部分的に塗った部分が乾いたら
刷毛にタブローをたっぷり含ませて容器の縁で軽くしごいて左上から全体にゆっくりとニスかけしていきます。
横方向に塗り終わったら縦方向にも塗ってあちこちから見て塗り残しがないかどうか確かめてみます。
意外と塗り残しがあるものです。
タブローは乾きが速いのであまり時間をかけてしまうと少し固まりかけている上をしごいてしまうことになるので失敗ということになります。
ゆっくりとしかも手早く塗り残しなく、、という塗り方をします。
側面に絵の続きがある場合は側面にも塗っておきます。
油絵のニス(タブロー)を塗り終わったら
タブローを塗り終わったらそのまま液が垂れないように平置きしておきます。
表面がべたべたしていて埃が付きやすいので上から箱などを被せておきます。
私はアクリルボックスの使わないものを被せています。
約15分くらいで乾きます。
油絵にニスかけをした後の刷毛はテレピンで洗ってそのあと石鹸できれいにしておきます。
まとめ
■油絵にニスを塗らないでも良いか?→特に塗らなければいけないということではない
■油絵にニスを塗ったほうが良い理由
①外気をシャットアウトすることでオイル(特にリンシード)の変色を防ぐ
②外気のガスと油絵の具の顔料が反応して変色するのを防ぐ
③光沢の差を無くす
④表面が滑らかになるので絵の表面を拭きやすくなる
⑤光沢が増すことによって高級感が増す
■油絵のニスの種類
①タブロー→昔からある本格ダンマルワニスでガラスのような光沢がでる
完成から半年~1年経ってから塗る
塗ったあとは空気を通さなくなる
②ルツーセ→タブローよりは空気を通すので指触乾燥の状態で塗れる
③タブロースペシャル→指触乾燥の状態で塗れる
④マットタブロー→艶消しできる
以上参考になれば幸いです。
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