油絵の具の青にも色々なものがあります。
緑がかった青、紫がかった青など。
緑がかった青は黄みが混じっている、紫がかった青は赤みが混じっているとも考えられますが
その種類や違いは同量の白を混ぜてみると分かり易いです。
緑系の青と紫系の青を並べて塗るとその違いが際立って見えたりします。
ここでは油絵の具の青の種類と実際に白を混ぜたらどんな色になるのかを見ていきます。
混色注意のN記号の有無にも注意が必要ですがパーマネントホワイトを使っていればそう気にすることは無いです。
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油絵の具 青の種類とその歴史
油絵の具の青で最も古いウルトラマリンブルー
油絵の具の青色で最も歴史が古いのは現在ウルトラマリンブルーと呼ばれているものです。
古代アフガニスタンや西アジアで採れていたラピスラズリという原石から作られていましたがそれは海を越えてヨーロッパに伝えられ運ばれてきたのでウルトラマリンブルーと名付けられました。
古代エジプトではツタンカーメンの黄金のマスクにも使われた顔料です。
日本にはシルクロード経由で正倉院の宝物の瑠璃色のガラス瓶として伝えられています。
中世以降のヨーロッパでは金よりも高価とされたこともありそれを使用できるのは王族や貴族、教会からの依頼作品などに限られていました。
ルネッサンス期のヨーロッパではこの青色油絵の具は聖母マリアの青いマントに使用されていました。
それにしても17世紀に宿屋の主人だったフェルメールが使用したのは凄いことだったと私は思います。かなり思い切って買っていたのではないでしょうか。
この頃はまだ画家が顔料から油絵の具を作っていました。
今ではこのウルトラマリンブルー青は科学的に合成されて安価に大量に作られています。
少し赤みのある紫がかった青で日本名は「瑠璃色」です。
次に古い油絵の具の青はプルシャンブルー
プルシャンブルーは18世紀初頭にドイツベルリンで初めて合成された人工化合物で日本にも輸入され、江戸の浮世絵師達に驚きと感動を持って受け入れられました。
葛飾北斎の富岳三十六景やゴッホの作品にも使われています。
皆があああの青、と思い浮かべる鮮やかで少し緑がかった青で日本名は「紺青」もしくは「藍色」です。
着色力が非常に強く他を喰う色とも言われています。
下の白を混ぜた画像を見て頂くと分かり易いかと思いますが半々にパーマネントホワイトを混ぜてもあまり明度は上がりません。
なので明度を上げたい場合はチタニウムホワイトを使う必要があります。
次に開発された油絵の具の青はコバルトブルー
コバルト青と言われる青色無機顔料は19世紀から作られてきました。
海碧(かいへき)と呼ばれるセラミック顔料がコバルトブルーと呼ばれることもありますがコバルト青のほうがメジャーなようです。
深く澄んだ青のなかの青といった感じで空や海の表現に適しています。
またセルリアンブルーはコバルトブルーにホワイトを混ぜたものですがコバルトブルーよりは黄みがかっているように見えます。
日本名は「群青色」です。
20世紀になって作られた油絵の具の青フタロシアニンブルー
フタロシアニンはクロロフィルに似た構造を持つ青色有機顔料で鮮やかな青色で着色力の強さが特徴です。
また耐光性も高く色の褪せることのない堅牢な色で道路標識、新幹線の青などに使われています。
鮮やかな緑であるビリジアンもフタロシアニン系です。
油絵の具 青の種類と違いは白を混ぜてみると分かりすい
うちのアトリエにある青系油絵の具にパーマネントホワイトを半々に混ぜてみたものです。
左が緑系、右が青~紫系です。
白を混ぜて「水色」を作ってみるとその違いや特徴がよく分かります。
これはアクリル絵の具や水彩絵の具でも言えることですね。
最も緑がかった油絵の具の青 ターコイズブルー
トルコ石として有名な緑がかった青で実際はこれより明るい緑がかった色で知られています。
もっと緑がかったトルコ石はターコイズグリーンと呼ばれます。
澄んだ海の浅いところの表現などに適した青の種類です。
シリーズB,耐光性★3、乾燥3日、半不透明、使用顔料PB28,PG7,PW6
ブルーとグリーンとチタニウムホワイトの顔料が使われています。
いわゆる「青色」セルリアンブルー
セルリアンブルーはターコイズブルーほど緑がかってはいませんが僅かに緑がかった明るい青です。
元は、ラテン語で「空色」を意味する「caelum」が語源で、それが英語化した色名です。
白を混ぜることによって空の色として用いられることが多いです。
小学校で使う水彩絵の具セットの青、のイメージです。
顔料としては硫酸コバルトを焼成したものですが今は科学的に作られています。
ホルベインからは「セルリアンブルーレッドシェード」という少し赤みがかった色もでています。
シリーズE,耐光性★4,混色制限なし、乾燥日数3日、半不透明、使用顔料PB35
比較的新しい油絵の具の青の種類 フタロシアニンブルー
とても澄んだ鮮やかな青の種類で塗料や印刷インキ、プラスチック添加用色素として用いられています。
アクリル画を描く人は多く使っているのではないでしょうか。
白と混ぜることによって空の色として使うことも出来ます。
着色力が強いので白がやや多めに必要となります。
これは少し緑がかっていますがホルベインからは「フタロブルーレッドシェード」という少し赤みがかった色もでています。
シリーズB,耐光性★3、乾燥1日、透明、使用顔料PB15
透明性が高くしかも乾燥が速いのが嬉しいですね。
グレーズにも向いていると言えます。
混色制限もないので使いやすいですね。
日本でも馴染の深かった青の種類プルシャンブルー
1704年ドイツのベルリンで発見された顔料でドイツの旧王国名プロイセンに由来してプルシャンブルーと呼ばれました。
日本の浮世絵の世界では「ベロ藍」と呼ばれることもありました。
シリーズA,耐光性★2、乾燥2日、半不透明、使用顔料PB27
乾燥は私が使った感じでは凄く速い印象です。バーントアンバー並みの速さです。
これは私の油絵作品で色々な青の濃淡で描いていますが緑系の色がプルシャンブルーの濃淡です。
かなり緑がかっているというのが私の実感です。
特に紫がかったウルトラマリン系の横にもってくるとその緑っぽさが際立ちます。
明るめの群青色コバルトブルーペール
これは主にコバルトブルーペールとコバルトブルーヒューの濃淡で描いたものです。
紫がかっている薄めの色はウルトラマリンライトにホワイトを混ぜたものです。
油絵の具のコバルトブルーペールはコバルトブルーよりも明るい感じの青の種類です。
シリーズE、耐光性★4、乾燥2日、半不透明、使用顔料はPB28です。
コバルトブルーですが混色制限は特に無いので使いやすいですね。
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いわゆる群青色で初心者向けコバルトブルーヒュー
ホルベイン初心者セットにはこのコバルトブルーヒューが入っているかと思います。
所謂群青色で、コバルトブルーペールよりは暗めになります。
シリーズA,耐光性★3、混色記号N、乾燥4日前後、半不透明、使用顔料PB15,29,PW6
ヒューというのは純粋顔料ではなく本物に似せて作られたものです。
この場合ウルトラマリンブルーとフタロブルーとチタニウムホワイトが混ぜてあります。
混色記号Nというのは「硫化物を成分としているのでS記号絵の具(シルバーホワイト)との混色は避ける」という意味です。
ですがシルバーホワイト以外のホワイトであればそう気にすることなく混色可能です。
これでわりと爽やかな「水色」を作ることも出来ます。
油絵の具の青 赤みがかったウルトラマリンライト
いわゆるウルトラマリンブルーよりは明るい感じです。
混色に注意、N記号がついています。
シリーズA,耐光性★3、乾燥4日、透明よりの半透明、使用顔料はPB29 です。
透明性が強いのでよりグレーズに向いています。
シルバーホワイトとの混色を避ければ白との混色で爽やかな紫系の空色を作ることも出来ます。
特に夕焼け雲などを描くときに赤紫がかった雲の背景にマッチします。
油絵の具の青 最も紫がかったウルトラマリンディープ
ウルトラマリンライトより深く紫がかった感じです。
混色に注意、N記号がついています。
シリーズA,耐光性★3、乾燥4日、透明よりの半透明、使用顔料はPB29 です。
ライトと性質は同じですがやはりグレーズに向いています。
より深い色味を作っていきたい時に使います。
これにプルシャンブルーを混ぜるとかなり深い青になります。
その他の青色系油絵の具
シアン(ブループリミエール)
このブループリミエール(シアン)という色は10年以上前に「ルーブル」というメーカーから買っていたものですが今はこのルーブルの油絵の具が製造されてないようです。
「ルーブル」というのはフランスの「ルフラン&ブルジョワ」という老舗メーカーがリーズナブルに作っていた一連のラインナップすが今でも大元のルフランで探せばこのシアンがある可能性は大きいですが日本で買う人は少ないかと、、。
写真では実感がわきにくいかと思いますが何にも替え難い魅力のある美しい青色です。
私の絵の中では「差し色」として使っていました。
油絵の具「赤」のブログでも書きましたが「ルージュプリミエール」と全く同じ感想です。
ルージュプリミエールも貴重な差し色として使っていました。
またこのシアンとコバルトブルーの組み合わせで凄く素敵なブルーが出来るので超気に入っていたのですが残念です。
(といっても150mlチューブを買っていたのでまだしばらくは大丈夫です・笑)
ホリゾンブルー
ホリゾンブルーというのはフタロブルーにチタニウムホワイトが加えられた明るく緑がかったブルーです。
シリーズA,耐光性★3、乾燥4日、透明よりの半透明、使用顔料はPB15とPW6 です。
地平線に近い明るいブルーという意味かもしれませんね。
コンポーズブルー
シリーズA,耐光性★2、乾燥2日、半不透明、使用顔料はPB15とPW6 です。
コンポーズブルーはホリゾンブルーほど緑がかってませんが明るいブルーの種類のひとつとして透明水彩でも海の色などに使う人は多いのではないでしょうか?
マンガニーズブルーノーバ
マンガニーズブルーノーバという青色はコバルトブルーペールとフタロシアニンブルーの組み合わせで作られた深い色味の青です。
シリーズB,耐光性★3、乾燥4日、透明よりの半透明、使用顔料はPB15とPB28 です。
これでグレーズするのも美しいものになりそうですね。
ミスティブルー
ミスティブルーはウルトラマリンブルーとチタニウムホワイトの組み合わせで作られた「霧のような儚い青」です。
シリーズA,耐光性★2、乾燥2日、半不透明、使用顔料はPB29とPW6 です。
微妙な花の色や陰色などに使えそうですね。
まとめ
・青系油絵の具は古い順にウルトラマリンブルー、プルシャンブルー、コバルトブルー、フタロシアニンブルー
・青系油絵の具の色味は白を混ぜるとその違いが分かりやすい
・油絵の具 青を緑がかったものから順に並べると
(うちのアトリエにある青系油絵の具の混色結果)
ターコイズブルー
↓
セルリアンブルー
↓
フタロブルー
↓
プルシャンブルー
↓
コバルトブルーペール
↓
コバルトブルーヒュー
↓
ウルトラマリンブルーライト
↓
ウルトラマリンディープ
となりました。下にいくほど赤みが増します。
・ヒューがつくものは単一顔料ではない
・初心者の方は
フタロブルー、コバルトブルーヒュー、ウルトラマリンディープ
の3つを持っておかれたら十分ではないかと思います。
以上参考になれば幸いです。
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