犬や動物を油絵で描くときは「毛」の表現をしなければいけませんよね。
(油絵に限らず)
その為には「下地の色」をまず決める必要があると思います。
初心者の方が油絵で「犬」を描くときはまずこのベースに
なる色を下地として塗っておくのが良いと思います。
ここでは可愛いスピッツを伝統的な
インプリマテゥーラ技法を使って描いてみたいと思います。
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油絵で犬を描く為に使うインプリマテゥーラ技法とは
インプリマテゥーラ技法というのはルネッサンス期から使われていた
伝統的な技法で、まず中間色の下塗りをしておくものです。
仕上がりの絵のイメージの中間色を先に塗っておけば
その後はそれより明るい色、暗い色を足していけば良いので
なかなか効率の良いやり方ということができます。
この中間色は何色でも良いのですが古くから
アンバー系の色が多く使われてきたようです。
バーントアンバー、バントシェンナー、イエローオーカー
などです。
これは土からできた顔料が安価に手に入れることが
出来たからではないかと言われています。
現在では通常まず鉛筆などで形を描いておいて
それからアンバー系の絵の具を薄塗りして形を
「止める」ということをしますが
今回は下塗りをした上に形をトレーシングしています。
油絵で犬を描く前にキャンバスに下塗りをする
油絵の下塗りは油彩による下塗りとアクリルによる下塗り
という2種類の方法があります。
下塗りの記事では
・油彩暖色、油彩寒色
・アクリル暖色、アクリル寒色
という風に分けて解説してました。
油彩による下塗りはファンデーションホワイトと
揮発性油(テレピンやペトロール)を使います。
暖色系はバーントアンバーやバーントシェンナーを
使いますが寒色系はブラックを混ぜてグレーを
使うことも多いようです。
勿論仕上がりのイメージがブルー系であれば
最初からブルー系下塗りをしていても良いと思います。
ここではスピッツの白い毛の色の陰色として
グレーにしてみました。
今回最後まで下地の色が見えています。
油絵で犬を描く前にかたちをトレースしておく
ちょっと見えにくいかもしれませんが
予めA4コピー用紙に写真をもとにかたちをを印刷しておいたもの
(勿論自分でデッサンするのが一番良いです)
の裏に6B鉛筆を塗って、表から赤ボールペンでなぞり
キャンバスにトレースします。
フィクサチーフがあれば吹き付けておいてください。
アクリルによる下塗りであれば描く前に一度オイルを塗りますが
今回は油彩による下塗りですのでその必要はありません。
油絵で犬を描く~インプリマテゥーラ技法を使って~
油絵で犬(スピッツ)を描くときの色作り
犬の部分に使う色はチタニウムホワイト、アイボリーブラック、
パーマネントイエローライト、イエローオーカー、
バーミリオンヒュー、コバルトブルーヒュー、
バーントシェンナー、バーントアンバー、
ミネラルバイオレットです。
チタニウムホワイトとアイボリーブラックを混ぜて
何種類かのグレーを作っておきます。
またイエローオーカーにバーミリオンヒューとホワイトを少し
混ぜた色も作っておきます。
これがスピッツの毛の基本色となります。
これにミネラルバイオレットを少量混ぜた陰色も作っておきます。
またバーミリオンヒューにホワイトを混ぜた色は
目の下あたりの色になります。
バーミリオンヒューにコバルトブルーヒューを混ぜた色は
耳の中の色になります。
全てペインティングオイルを加えて
マヨネーズより柔らかめにしておきます。
犬の毛として明るめのグレーを入れていく
中間色であるグレーを基本としてそれより明るい
色のグレーでまず全体の毛を描きこんでいきます。
ここで使う筆は丸筆とそれほど細くない面相筆です。
まずは丸筆でふわふわの毛をざっと描きこんでいきます。
グレーの濃淡を調整しながら全体的に毛並みを描いていきます。
犬の毛の基本色を塗る~油絵でペットを描くコツ~
可愛いペットを描くときにそのペット(犬)の一
番可愛い基本色のようなものがあると思います。
ここではグレーを基調に白い毛並みが重要ですが
もっと重要なのは少しオレンジがかった黄土色、
イエローオーカーにバーミリオンヒューを混ぜて
少しホワイトを加えたこの色だと思います。
100パーセントイエローオーカーではないところが
可愛いですね。
バーミリオンヒューはこの犬のいたるところで
使いますがこれが可愛らしさの秘密のような気がします。
こういうところにもバーミリオンヒュー+ホワイトの
可愛らしい色が見られます。
更に犬の中の色々な色を加えて描きこんでいく
このへんはイエローオーカー+イエロー+ホワイトですね。
油絵具はパレットの上で筆で混色することも出来ます。
耳の中の陰色も入れていきます。
これはバーミリオンヒューに補色の
コバルトブルーヒューを少し加えた色です。
バーントシェンナーに近い色になりますね。
基本色にミネラルバイオレットを混ぜた陰色
を全体に入れていきます。
目の下のピンクっぽい部分も
バーミリオンヒューにホワイトを加えたものです。
ここもこのワンちゃんの「見せ場」のような
気がします。
この部分が可愛いですね。
*油絵は基本色によって筆を替えますが
私はその都度布で拭いたりしています。
途中でブラシクリーナーで洗ったりしたときは
ブラシクリーナーの成分が絵に混じらないように
しっかり拭き取っておきましょう。
犬(スピッツ)の毛の色は結構複雑ですが
グレーにバーントアンバーを混ぜたような色も
あるようです。
更にバーントアンバーで所々立っているような毛を
描いていきます。
バーントシェンナーの部分もあります。
目はグレーの濃淡で描いておきます。
黒いからといっていきなり黒を塗るのではなく
グレーからスタートします。
鼻の部分はグレーの濃淡とアンバーを使っています。
口は少し紫がかっていますのでメインの毛の陰色を使います。
ここで周りの草色を塗っておきます。
パーマネントグリーンペールにイエローオーカーを
混ぜた色をざっと塗ります。
グリーンにアンバー系、オークル系の色を
混ぜると自然な感じになりますね。
塗ったあとに布で草のマチエールを作っておきます。
周りはそれほど念入りに描く必要はないと思います。
絵というのは力の入った部分とそうでない部分が
あって良いのです。
ここで一旦乾かします。
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油絵で犬を描く~ハイライトを入れていく~
画面が乾いたら犬の毛に光が当たっている
明るい部分を描いていきます。
前回グレーを基本にそれより明るいグレーで
犬の毛を描いていましたが今回はさらに
明るい部分を面相筆を使って描いていきます。
描き辛いときは画面を回しても良いです。
犬の細部を更に描きこむ
鼻の頭の最も明るい部分を入れてみました。
油具は予めパレットの上に色を作っておくのが良いですが
描く途中で筆で色の調節をしていきます。
バーミリオンヒューの明るさの調節なども
筆で微妙にやっていきます。
ここで耳の形を決めます。
微妙に血の色が透けて見えるところが
明るいオレンジになっているようです。
耳の質感を思いながら描いていきます。
瞼や目の周りも明るいオレンジ(バーミリオンヒュー+ホワイト)で
更に描きこんでいきます。
毛の基本色の明るい部分を加えてみます。
これでまたスピッツの可愛らしさがでるようです。
下瞼の紫がかったグレーを入れてみます。
ここも血の色が透けて見えるところです。
動脈(赤)と静脈(青)で紫ということになります。
油絵は時間をかけて描きこんでいくほどに
深みが増して良くなっていきます。
本当はもっと時間をかけたいところですが
今回は2回で仕上げとします。
目元の光など更に描きこみます。
この辺も見せ場ですね。
ここで初めて目の中にブラックを入れます。
これでだいぶ目に立体感が出てくるかと思います。
下瞼を更に描きこみます。
最後に濃い目のグレーとアンバーで描いていた鼻を
更に詳しく描きこみます。
鼻の少し濡れた感じを思いながら描きます。
最後に光沢の調整をする
大体これで完成としますが
下塗りのグレーが見えている部分は揮発性油で
塗っていますから光沢は無いのですが後から
ペインティングオイルで描いた部分は
若干の光沢がありますから最後に光沢の調整をします。
仕上げ用のニスでタブロースペシャルというのがあります。
これは触った感じで乾いていれば使用可です。
油絵具というのは乾性油が空気中の酸素と
化合することによってじわじわと乾いていくものですから
触った感じで乾いているようでも
実は中のほうは乾いてなかったりするのです。
このタブロースペシャルというのは
吹き付けた後も空気を通しますので
展覧会で急ぐ時なども使えます。
刷毛で塗るタイプもあります。
これで一応均一な光沢になります。
本当の?ニスはタブローです。
半年以上乾かす時間があったら本格的なニスかけをしてみましょう。
(すごく厚塗りをした場合は1年くらい乾かすことをお勧めします。
剥離や亀裂の原因となります)
迫力の光沢がでます。
ニスかけについては下記動画を参考にしてください。
まとめ
油絵で犬を描く手順~インプリマテゥーラ技法を使って~
1毛の色の中間色で下塗りをする
(今回は白い毛の下地としてグレー)
2形をトレーシングする
3下地より明るめのグレーでざっと毛を
全体に描いていく
4犬の毛の固有色やその他の部分を描いていく
5光のあたっているハイライトの部分を描いていく
6更に細かい部分を描きこむ
7光沢の調整をする
ということになります。
参考になれば幸いです。
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