水彩画には色々な技法があり、それぞれとても魅力的ですがやはり何といっても「にじみ」は水彩画の一番の魅力ではないでしょうか。
人間は生まれてくる前は羊水のなかに浮いています。
生れつき「水」は好きなのです。
水彩絵の具がにじんだ感じはなんとなく癒されますよね。
今回はその「にじみ」を使って色々なイラストを描いてみましょう。
にじみに適した紙や筆についても解説します。
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水彩画のにじみを使ってイラストを描くときの技法
水彩紙に何か形を描き、そこを水で濡らします。
そもそも薄く溶いた絵の具は水の中でだけ移動します。
水の無いところには行きません。
この原理を使って描いていくことになります。
勿論最初にベースになるうすめ(明るめ)の色をたっぷりの水で溶いて描き始めても良いです。
濃い目の色をあとから入れるのがコツです。
こうすれば色が混じっても汚くなりません。
予め使う色を適当な濃さ(薄さ)に溶いておくのが良いと思います。
そして下に塗った色が乾かないうちに上の色を重ねていきます。
このときにできる偶然の形ににじみ技法の趣と面白さがあります。
この時にあまりにも水分が多すぎると色の溜まりが出来ますのでそいいうときはティッシュを細くしたこよりでそっと水分を抜きとります。
塗れた筆で抜き取ることも出来ます。
意識的に(ある程度制御できる程度)ににじませるのに一番良いのはちょっと湿った感じの下地の上に別の色を置くことです。
水彩画 にじみを使ったイラストを具象的に描く技法
水彩画のにじみを使って花のイラストを描く技法
これは私がバラの花を描いてみたものです。
最初に薄く鉛筆で形を描き、薄いピンク、ローズマダー、ミネラルバイオレット、ピロールレッドなどを重ねていきました。
一度全体の形にうすめの色を水たっぷりに入れて、所々濃い目の色を入れ、一度乾かしてから花びらを描きこんでいく感じの技法です。
滲んだ感じで花びらや葉の膨らみのようなものを表現したいと思いました。
水彩画のにじみを使って鳥のイラストを描く技法
これも私が水彩画のにじみを使って鳥のイラストを描いてみたものです。
まず最初に全体に水たっぷりの色を置いていき、あまり気にせずににじませます。
なるべくにじみの面白さがでるように色を重ねていき、乾いたら最後ににじませたくないところを決める技法です。
この鳥は色が鮮やかなのであまり色が混じらないようにしなければならないのでちょっと難しかったです。
水彩画のにじみを使って魚のイラストを描く技法
水彩紙に魚のかたちを描いてまず黄、水色、黄緑、ピンクの基本色を水たっぷりに塗り、乾かないうちに同系色を重ねてみました。
こんな風に気軽ににじみを使ってイラスト風に描いてみるのも楽しいかと思います。
水彩画のにじみを使って木のイラストを描く技法
これはイラストというより風景画といった感じですが、、
水彩画の背景に木を描きたいときなどにじみを使ってさりげなく入れるのも良いと思います。
まずは木のかたちを薄めの緑で描き乾かないうちに濃い目の緑を入れていきます。
薄めの緑はホルベイン透明水彩のパーマネントグリーン№1にイエローオーカーを少し混ぜて草色にしています。
濃い目の緑はパーマネントグリーン№2にバーントアンバーを混ぜたり、ブラックをほんの少量混ぜたりしています。
所々テールベルトやサップグリーンも使っています。
乾いたあとに枝を所々に描きこんでいく技法です。
枝や幹には基本色としてグレーを使っています。
木=茶色と思いこまないほうが良いです。
水彩画のにじみを使って海岸のイラストを描く技法
まずは水たっぷりに濃い目のブルーを作り、上から小型の刷毛のような筆で勢いよくストロークを描いていき手前にいくほどかすれさせるようにします。
波打ち際のところはごくうすくブルーを塗った上から水をたらしこんだり、濡れているうちに水を含んだ筆を使って色を抜いたりしています。
手前のほうはパーマネントグリーンにブルーを少し混ぜた色で薄く塗り、一番手前は砂地のイエローオーカーをごく薄く溶いて塗っています。
水彩画のにじみを使って人物のイラストを描く技法
これはうちの生徒さん作品ですが女の子の背景は女の子の中に使った色で優しくぼかされ、服の中はにじみで変化をつけています。
服の中に微妙に紫、赤がにじませてあるのが良いと思います。
水彩画のにじみを使って身の周りの物のイラストを描く
水彩画のにじみを使ってコーヒーカップを描く
これも生徒さん作品ですがブルーとグレーのかけあわせで陶器の質感が良く表わされていると思います。
光が当たっている部分もそれっぽいリアリティーがありますね。
水彩画のにじみを使って傘を描く
これは私が描いたものでちょっと失敗した感がありますが・汗・
一応参考にしてください。
何か模様を描くのも良いかもしれません。
これは生徒さん作品です。
まわりを一度にじませたあと乾かしてからモチーフ(傘)をペンで描く技法です。
この技法をマスターすれば色々なものが描けます。
秋には秋色を滲ませて紅葉など描いても良いと思います。
水彩画のにじみを使ってクリスマスオーナメントを描く
これもうちの生徒さん作品ですがにじませながらもオーナメントの光った感じがよく表されていますね。
オーナメントに色々な色があるので周りも華やかなイラストになります。
水彩画 にじみを使ったイラストを抽象的に描く
これは私が描いたものですがまず最初にハート型に水をひき、その中に黄、オレンジ、ローズをたらしこんでいく技法です。
自分の好きな形で遊んでみては。
これも私が描いたものですがこれもまず水をちょこちょこ置いた中に絵の具を入れていっています。
これも私が作ったものですが水彩紙の上に別の紙を置いてマスキングテープを貼り、まず黄色を水たっぷりでのせて、そのあとブルーを入れていく技法です。
マスキングテープを貼らない場合はもっと境目が曖昧な感じになります。
和紙に水彩絵の具を滲ませたものを水彩紙に貼りつけまる技法です。
和紙は障子紙でも良いです。
一度くしゃくしゃにしてから水彩絵の具でにじみをやったほうが良い感じになります。
このにじませた和紙をランダムに切ってコラージュしていく技法もあります。
この水彩画はうちの生徒さん作品ですがランダムに抽象的に色をにじませてあります。
偶然の面白いかたちが出来ています。
息を吹きつける技法も使ってあります。
これもマスキングして水彩絵の具をにじませてあります。
吹きで絵の具が面白く移動してにじんでいます。
水彩画 にじみを使ったイラストを白抜きで描く技法
これは一見マスキングの技法かと思いますがそうではなく、モチーフの形のまわりに水をたっぷり塗って、そこに絵の具をたらしこんでいく技法です。
これもまずは明るめの色からおいていき、段々濃い目の色にしていきます。
モチーフに近くなるほど濃い目にするとはっきりした感じになります。
最後乾かないうちにスパッタリングでアクセントをつける技法もあります。
これは生徒さん作品です。
ウサギのかたちを柔らかい色合いで表現してあります。
色々な動物でやってみると面白いかもしれませんね。
この方法だとわりと気軽ににじみ技法を試してみることができますよ。
水彩画 にじみを使ったイラストを子どもに描かせる
うちの教室では毎年春に子ども達に「春色にじみ絵」をやらせます。
予め黄色、ピンク、黄緑、水色を適量溶いておき、そのあと水彩紙を刷毛で濡らします。
塗れているうちに花や蝶のイメージを描いていきます。
童心に戻ってこういうのを描いてみるのも楽しいかもしれませんね。
これは春色の水彩絵の具をにじませる前にマスキングテープを貼りつけていたものです。
ぼんやりした春色のなかにアクセントになっています。
水彩画でにじみ絵を描くのに適した筆と紙
水彩画でにじみ絵を描くのに適した筆
水をたっぷりつけてにじみ絵を描くのに適した筆はこれがおすすめです。
ホルベインのリセーブル500R(ラウンド)6号。
水含みが良く柔らかいので気持ちよく塗ることが出来ます。
コシがある感じではないので細部の描きこみにはあまり向いてないかと思います。
水彩画でにじみ絵を描くのに適した紙
水彩画のにじみに適した紙はできればコットン系で適度なサイジング(コーティングのようなもの)がしてあって適度に水を弾き、適度に吸い込み、、という微妙さが大事なようです。
薄い紙は表面がひどく波打ちますので1㎡あたり300グラム以上ある水彩紙がおすすめです。
一番おすすめはアルシュブロック中目(値段は高いがにじみに耐えうる強さとブロックの頑強さが良いです)
その他はウォーターフォード、ワトソン紙などです。
上の魚の絵はワトソン紙です。
出来れば水張りするのが良いのですが急いで?何枚も描くようなときはある程度の紙のよれは覚悟ですね、、汗。
乾いたあとに分厚い画集などを乗せておけばある程度はまっすぐになります。
軽くにじませる程度ならば水張りしなくても大丈夫なことが多いです。
まとめ
・水彩画でにじみをする方法はまず明るめの色をたっぷりの水で溶いて塗ったあとに濃い目の色を乗せていく
・水彩紙にモチーフのかたちを薄く鉛筆で描きその中をたっぷりの水で塗っておけば絵の具はその中でのみ広がって外にはいかない。(乾いたところにはいかない)
・水彩紙にモチーフのかたちを薄く鉛筆で描き、その外側にのみ水をたっぷり塗ってそこに絵の具をにじませる技法もある。
この技法だとあらゆるモチーフをわりと気軽に表現することができる。
以上参考になれば幸いです。
参考資料:「ちひろの絵のひみつ」講談社
「はがきアート」ビジョン企画出版社
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