長年教室をやっていると生徒さんの中には「作品が溜まったので個展してみたい」という方がでてきます。
初めての個展で作品を並べるときにはどういうことに注意すれば良いのでしょうか。
今回は個展での絵の飾り方のコツと注意点を書いてみたいと思います。
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個展での絵の飾り方のコツ 作品点数と配置
作家さんが個展をする場合もっぱら「作品発表」を目的としたものと「販売」を考えて小品を並べるのと2通りあるかと思います。
個展をするときにはそのどちらにするかを最初からはっきりさせておいたほうが良いと思います。
ここでは主に小品を並べて販売を考えるときの絵の飾り方について私の経験をもとに感じたことを書いてみます。
個展での絵の飾り方のコツ 作品点数
頑張って絵を描いてきたらその全てを展示したい、見てほしいと思うのが人情です。
これは仕方ないことではあるのですがきれいに展示するコツは「沢山並べすぎない」ということです。
勿論良い絵ならばどんなところにどんな飾り方をしていても売れるだろうと思います。
だけど私の場合は全体見がすっきりとキレイに見えるようにしていないと売れない、という感じでした。
観にきた人はギャラリー全体の雰囲気に惹かれて買いたくなる、というのが大いにあります。
そこで作品点数はどのくらいが良いのかということになりますが、私の考え(あくまでも私の考えです)では絵の幅の合計がギャラリー(展示空間)の壁面の幅の総数(〇センチ)の半分程度になるように調整するということです。
例えばギャラリーの壁面の横幅の長さの合計が1800㎝だったとすると絵の横幅の合計がその半分の900㎝程度もしくはそれ以下にするということです。
因みに上の写真は2018年に私が東京のギャラリー58というところで個展したときのものですがこの場合は半分以下です。
例えばニューヨークのギャラリーなど、広い壁面に1点だけ掛けてあるというのもよく目にします。
小品の場合は本当に間隔を空けてポンポンと並べてあります。
なので「作品が足りない」といって悩む必要はありません。
「ニューヨークスタイル」と思ってゆったりと並べてみましょう。
ぎっしりと詰まった展示よりもすっきりとキレイに見えます。
あくまでも壁面の大きさに比例して、ということですが。
なので家庭でも壁の幅の半分が絵の幅、と思って飾ってみてください。
なので広い壁面に小さい絵は変ですし、狭い壁面に大きな絵は窮屈です。
個展での絵の飾り方のコツ 配置
大き目の作品の位置を決める
個展での絵の飾り方で考えるのはどんな配置にするかです。
*上の写真では同じ大きさ、種類のものを同じ壁面に飾っています。
展示の基本は大きな作品ほど遠くから見なければならないというのがありますので
大き目の作品がある場合は一番距離を持って見れる位置に飾ります。
なのでまずメインとなる大きな作品、一番見せたい作品の位置を決めます。
次にその横にそれより少し小さめの作品を持ってきます。
色味に変化があるように展示します。
小さい作品は狭いスペースに
例えば0号とはサムホールとか小さめの作品がある場合はそれに合うようなちょっと狭い場所に飾ります。
このような小さめの作品は意外と売れやすいので重要です。
小品が沢山ある場合はちょっと広めのところにまとめて2段掛けすることもあります。
互い違いに掛けるのもオシャレです。
この場合もそのトータルの幅でひとつの作品の幅、といった考え方、飾り方をします。
まずは全て床に置いてみる
個展での展示作業はまずは床に全て置いてみて絵と絵の間隔を決めていきます。
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個展での絵の飾り方のコツ 絵の高さ
個展での絵の飾り方のコツで重要なのは絵の高さです。
通常目の高さより少し高めが良いと言われています。
大体140~150㎝程度でしょうか。
時々家庭や病院などでいやに高いところに掛けてあるのをみかけますが見上げないといけないのは良くないですね。
色々な大きさの絵がある場合は絵の高さの中心線を揃えるという飾り方が一般的です。
まず大作の高さの中心点をメジャーで測り、その高さのところに所々マスキングテープを貼り付けて目印にします。
展示する順番や間隔が決まったら絵の縦の真ん中がその高さになるように展示していきます。
個展での絵の飾り方のコツ 展示方法
裏に紐の無い絵の飾り方
では実際に絵を展示していきますが
裏に紐のある絵と紐の無い(フレーム無しのキャンバスやパネル)では基本展示方法が違ってきます。
フレーム無し、紐無しの小品の絵の飾り方
現代アートではフレーム無しで絵を展示することが多いです。
その場合は壁に直接展示用の釘を打って展示します。
この展示用の釘は画材屋さんで買うことができます。
これは細いタイプのものを2本壁に打ち付けたところです。
これにキャンバスやパネルの木枠の上部を落ちないように掛けていきます。
キャンバスやパネルを掛けたときにひっかるように(ずり落ちないように)先が円筒状になっているわけですね。
基本下からの距離を測って同じ高さに打ちますが掛けてみて左が高いとかいうときには左の釘の頭を少し下げて調節します。
この個展では右側の壁に掛けているパネルがフレーム無しなのでこの方法で展示しています。
左と正面はフレーム入りですので壁にフックをつけています。
ごく軽いキャンバスやパネルの場合この普通の押ピンで十分いけます。
こんなふうに壁に2本押し込んで、これに絵の木枠を掛けて展示します。
押しピンや釘を打つ位置はパネルやキャンバスの木枠の幅を考えて、ですね。
フレームの紐も弛みがありますのでフレームの端から何㎝のところに紐の頂点がくるかを考えてフックを取り付けます。
紐はなるべくピンと張っているように気をつけて見えないようにしておきます。
紐無しフレーム無しの大作の絵の飾り方
この太いほうの展示用釘はかなり強いです。
デッサン額を掛けるくらいはこれ1本でいけたりします。
以前はこのタイプの細いほうもバラ売りしていたのですが(上記小品の飾り方写真)今は私がよく行く福岡の山本文房堂さんではこの太いタイプしかバラ売りしてないようです・涙・
細いほうはフックとセットでしか手にはいりません・涙・
フレームに入っていない大作を展示する場合はこれを両端に2本ずつくらい壁に打ち付けてそれにキャンバスやパネルの木枠の上端を掛けていきます。
これはトタンに取り付ける釘ですが大作の展示にはこれでもいけます。
これは結構太いので強いです。
釘というのは当然太くて長いほうが強いです。
その替り壁には大きな穴が開いてしまいますね・汗・
裏に紐のついた絵の飾り方
絵に取り付ける紐色々
絵に取り付ける紐は絵の大きさや重さによって違ってきますが丈夫なほうが良いですね。
そこで意外と使えるのがスニーカー用靴紐です。
靴屋さんに売ってます。先が細いのでヒートンに通しやすいです。
結び目は真ん中にこないようにします。
フックに引っかかってしまいますので。
裏に紐のある絵の飾り方 フック色々
裏に紐のある絵を飾る場合は壁にフックを取り付けてそれに紐を掛けるという飾り方をします。
絵を飾るときに壁に取り付けるフックには色々なものがあります。
これは釘1本タイプですが釘を斜めに打ち込むので釘だけよりもかなり強くなります。
(この釘が細いほうの展示用釘です。)
これは2本釘で打ち付けるタイプのものです。
釘2本なので結構強いですね。
ですが画材屋さんに売っている2本釘フックはこのようなものです。
このタイプは上のタイプよりも釘を斜めに打ち込んでそれぞれ2か所で支えますからより強力になります。
この6号の油彩画は額入りで結構重いですが上の2本フックで掛けています。
通常2本フックは2キロ以下とされています。
フックを買うと重さ制限が書いてありますのでそれに従って絵を飾るようにします。
間違って絵が落下したりすると危険ですからこれは注意するようにしましょう。
このタイプの3本フックもあります。
3本になると重さは2キロ~10キロとなり、かなり大きな額入り作品も大丈夫な感じになりますね。
<あわせて読みたい>
壁に大きな穴を開けたくないときはこのタイプがお勧めです。
写真ではわかりにくいかもしれませんが釘がとても細いので壁に目立った穴が開くのを防ぎます。
細い釘ですが3本打ち込むのでかなり強くなります。
紐を取り付ける絵の飾り方 ヒートン色々
絵の裏に紐を取り付けるための道具をヒートンと言います。
これにも色々なものがあります。
これも絵の重さに従って違ったものになります。
これは画材屋さんで売っているヒートンと釘のまとめ買いセットです。
これの超小型もあります。
これを絵の裏側の木枠に取り付けて紐をかけます。
取り付ける位置は正確に上から何センチというのを計らないと絵を真っすぐに飾ることが出来ません。
位置的には大体絵の上から3分の1程度のところに取り付けます。
これは釘2本タイプですが取り付ける木ネジの直径が太いのでかなり強いです。
これはもう少し大きめの作品にとりつける為のものです。
釘が合計4本ですからもっと強くなりますね。
これはシンプルで安価ですがこれの大き目のものは大作もいけます。
ですが後ろに飛び出るので展示するとき以外は外しておくほうが良いですね。
これは150号キャンバスに取り付けていたものです。
これなら相当重くても安心です。
大きな作品の場合は紐ではなく針金を通すこともあります。
絵を水平にする飾り方
個展での絵の飾り方でとても重要なのが絵を水平に展示していくということです。
なので水平器は必須です。
100均にも簡単な水平器が売っていて十分使えますのでこれは必ず買っておくようにしましょう。
個展で一応絵を全部掛け終わったら水平器をあてて全ての作品を水平にしていきます。
これがガタガタしていたらすごく見栄えの悪いものになります。
家庭で絵を飾るときも同じです。
紙作品を飾るときも水平器を当てながらやれば何回もやり直して押ピンのあとをつけまくるということがなくなりますよ。
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壁に穴を開けたくないときに使うピクチャーレール
壁に絶対に穴を開けたくないときや壁がコンクリートで穴を開けられないときはピクチャーレールを使います。
これは壁の天井との境目の桟の部分に基盤となる部分を取り付けてそこから伸びる強力な金属紐に絵の裏側の紐を通すという飾り方です。
これは壁が傷つくことはないのですが見た目が少し悪くなるので現代アートでこの方法をとることはあまり無いかと思います。
紙作品の飾り方
虫ピンでとめる
うちの教室には生徒さん作品を沢山飾っています。
これはもう間隔を空ける余裕は無いです・汗・
皆さんの傑作が次々に出来てきますので、、
展覧会で紙作品を展示する場合はまずこういう虫ピンでとめるという飾り方があります。
磁石で止める
それから今画像は無いのですが壁の四隅に金属の平たい押しピンをさしておき、その上に紙作品を被せて押しピンの上の位置に磁石をくっつけるという飾り方があります。
これは見た目がとてもスマートでお勧めの方法です。
版画作品をフレームに入れずに直接この方法で展示される作家さんもおられます。
ひっつき虫で止める
壁に全く穴をあけることなく展示することができます。
一箱350円程度で55片ほど入っています。
キャプションもこのひっつき虫でつけていけば見た目がきれいです。
キャプションには普通 作品タイトル、制昨年、材料、名前を入れます。
他の情報を入れたい場合は下のほうに入れます。
薄めののりパネルで作ることが多いです。
ガンタッカーで付ける
こんな感じでガンタッカー(ホビーホチキス)で作品を留めていくことも出来ます。
布作品を留めるときもこれを使います。
前に飛び出ることが無いのでひっかかる心配が無いのが良いですね。
個展での絵の飾り方 壁の修復
絵を飾るとどうしても壁に穴が空いてしまいます。
ギャラリーによってはその都度壁をきれいに修復されます。
私はうちではこの穴は100均の紙粘土とボンドを使って修復しています。
しきれてないところも多数ですが、、汗・笑・
紙粘土少々とボンドを混ぜ合わせ壁に穴の開いたところに入れ込んでいきます。
こんな感じです。
これで大体穴はわからなくなりました。
壁がきれいだと絵もきれいに映えますね。
私は時々壁全体に薄く溶いた白のペンキを塗ったりしますが、、
まとめ
今回は個展での絵の飾り方について書いてきましたがまとめとしては
①作品点数は多すぎないほうがきれいに見える。
目途としてはギャラリーの壁面の幅の合計の半分くらいに作品の横幅の合計が収まる程度にすると見た目がきれい。
②絵の高さは目の高さより少し上くらいにする。
色々な大きさの絵がある場合は高さの中央を揃えるようにするのが一般的。
③大作は遠くから見れるように「引き」を考える。
④一番見せたい作品が一番に目に入るように展示する。
⑤裏に紐の無い作品の個展での飾り方は2本釘で
軽い小品の場合は押しピンでいける
⑥裏に紐のある絵の飾り方はフックを取り付けて
⑦フックとヒートンは作品の重さに従って(商品の注意書きを守る)
⑧絵を水平にするための水平器は必須
⑨どうしても壁を傷つけたくないときはピクチャーレールを使うが見かけは悪くなる
などでした。
参考になれば幸いです。
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*1か月無料体験レッスンは「油絵基礎マスターコースプラス」です。
*「お好きな画材コース」の体験レッスンは1回60分となります。
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