前回までに重要な絵画やイラストの構図の決まり事などを書いてきましたが3回目の今回は絵やイラストを描いていく上でそれがより効果的に見える構図や構成の決まり事などを書いていきたいと思います。
前回までのブログも併せて是非お読みください。
参考図書:構図エッセンス 視覚デザイン研究所他
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人物を描く時の構図と構成のコツをわかりやすく解説
真正面構図・構成の絵画イラストをわかりやすく解説
これは私の作品で娘(高校生時代)の顔を油絵で描いたものです。
通常真正面構図の絵画やイラストは証明写真のようで固くなるのですがここでは敢えて・・
真正面にドーンとこっちを向く構図で迫力を出したかったのと娘の内面の葛藤のようなものを表現した絵画にしたいと思いました。
これは有名な岸田劉生の「麗子微笑」という絵画です。
通常はモチーフを中心に置いて大きく描くと動きがなくなるので避けるほうが良いのですがこの岸田劉生の「麗子微笑」は敢えて真正面からの正三角形構図で描かれています。
これは大変強固な構成でゆるぎない感じの絵画ですね。
愛する娘の存在が自分の心の支えになっていることを確信しながら描かれているように感じます。
大変安定感のある構図と構成ですが毛糸の肩掛けからデフォルメされた頭に向かう線が緩やかにカーブを描きながら三角形に繋がっているという構成になっています。
また肩掛けの中の色がカーブを描いたり斜めに変化していく様子が下の着物の衿や帯の線に対比するように計算された構成になっていてとても面白いと思います。
わかりやすく言うともしもこの絵にこの毛糸の肩掛けが描かれていなかったらこの絵の魅力はが半減するということですね。
視線と余白を考えた構図と構成をわかりやすく解説
これはうちの教室の生徒さんの油絵作品ですが猫の顔の向いたほうの左の余白が右の余白よりも大きくなっています。
通常左右の余白を振り分けるような絵画・イラストを描くときには顔が向いた視線のほうを広くとるのが原則です。
これが逆になると不安定な感じになります。
もしくは何か別のことを言いたいときに視線の逆の空間を多くとる、ということになります。
これは花や植物にも言えることですね。
わかりやすく言うと花にも顔の向きがあるので左右の余白の大きさに注意するということです。
人物の後ろの空間を広くとった構図と構成をわかりやすく解説
通常は人物の顔が向いたほうを広くとりますがこのゴッホ作品のように人物のうしろが広くとられた構図・構成はわかりやすく言うとその人物の過去を表わします。
うしろの空間がその人の頑張った一日をしみじみと感じさせますよね。
見返り美人構図をわかりやすく解説
これもうちの生徒さん作品でフェルメールの模写ですがこういう見返り美人図はわかりやすく言うととても魅力的でかっこいいので雑誌の写真グラビアなどでもよく使われます。
それにしてもフェルメールは17世紀の人ですがこの時代にこの構図を思いついたのは相当画期的で斬新だと私はいつも感心しています。
この時代に他にこういう人物像を描いた人がいたでしょうか?
これは私の油彩作品ですが身体の向きと視線がずれると複雑で微妙な動きが作られて面白くなるという効果を考えて描きました。
わかりやすく言うとプロのフォトグラファーの人にプロフィール写真を撮ってもらうときは身体の向きと顔の向きが変わるように立たされたりしますよね。あれですね。
またこの作品ではいわゆるトリミング効果も狙っています。
女の子の顔の表情を描きたいので全身描く必要はなく、胸から下と頭のてっぺんは思い切ってカットしています。
ここで全身を描いてしまうとコンセプトがぼやけますね。
複数の顔の向きを考えた構図・構成をわかりやすく
絵画やイラストの中で複数の人物の顔の向きはその人物同志の関係を表わすのにとても重要です。
これは生徒さんの絵画作品ですが可愛い息子さん達を描いてあります。
ゆるやかなカーブを描く曲線のなかでお互いが向き合っている構成の絵画です。
わかりやすく言うとつまりお互いが内側を向いているのでこの2人の仲の良さが感じられるということですね。
これがお互い外側を向いていたら仲の良さを表わす絵画・イラストの構図としては失敗となります。
また人物が3人くらいいて3人とも違った方向を向いていたりするとお互いの無関心さ、空虚さなどを表現することができます。
この絵画では2人が違った方向を見ていて2人の関係の複雑さ、特に女性の微妙な気持ちが表現されていますね。
パリの都会生活の空虚さのようなものが感じられる絵画です。
人物の視線の高さで表情をつくる構図・構成の工夫
これは私が描いた犬と猫のイラストで人物ではありませんが視線が上向いていますよね。
人物を描いた絵画・イラストでも上向きの視線は「希望・願望」を表わします。
わかりやすく言うと何かを求めているような表情にしたい場合は当然ながら上向きの視線にするようにします。
逆に下向きの視線、伏し目がちの視線で描かれた人物の絵画やイラストは大人しく控えめな印象になります。
人物が水平にこちらを見る絵画イラストの構図をわかりやすく
これも生徒さんの水彩作品ですが同じ高さをきりっと見つめる構図にすると乱れのない理性的な強さのような雰囲気を出すことができます。
この作品も身体の向きと視線の向きが違っているので構図に変化があって良い絵画ですね。
モチーフを見る角度によって表情が違う構図・構成になる
見上げる構図・構成の絵画イラストをわかりやすく
この絵は前回のブログでも取り上げた生徒さん作品ですが尖塔を下から見上げた構図になっています。下から見上げることによって尖塔が威風堂々と見えます。
わかりやすく言うと人物を描くときも偉い人の肖像画などは少し下から見上げたような感じで描くと威厳がでますね。
建物や人物だけでなく植物も意外とそういう描き方を心がけると効果的な絵画・イラストになります。
見下ろす構図・構成の絵画イラストをわかりやすく
逆に少し上から見下ろしたような描き方をするとやさしい感じの絵画やイラストになります。
わかりやすく言うとこのルノアール作品は作者の人々に対する共感のようなものを表わしていると言えますね。
極端に見下ろした構図にするとその人物(複数でも)の様子をとても冷静に客観的に観ているような感じの絵画・イラストになります。
もしくは深い絶望感や疲労感などを表わすこともできます。
垣間見る構図・構成の絵画イラストをわかりやすく
これは私が太宰府天満宮で撮った写真です。
メインは太鼓橋ですがちょっと遠く、樹木の間に垣間見えている感じが良いと思いました。
右側にある祠の横線、斜め線も構図と構成のアクセントになると思います。
わかりやすく言うとこの太鼓橋が前面にどーんと出てくるとまた全然違った雰囲気の元気の良い構図になるということです。
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モチーフの数と余白の関係で構図・構成の工夫をする
余白の広い構図・構成の絵画イラストをわかりやすく解説
これは中学生生徒さんの作品ですがモチーフが少なく比較的余白の広い構図です。
こんな風にモチーフの数が少なく余白が広い構成にすると静かで落ち着いた感じになります。
色数が少ないというのもありますが。
わかりやすく言うと風景画でもモチーフが少ないと静かで落ち着いた感じになります。
時に寂しくうらぶれた感じも表現することができます。
モチーフが多く余白の狭い構図・構成をわかりやすく解説
この生徒さん作品も前回紹介しましたがこれはモチーフが多く比較的余白が少ないので賑やかな感じの絵画になっています。
これが人物になるともっとそのことが明らかになり、活気のある構図の絵画になりますね。
わかりやすく言うと料理の盛り付けでもそのことが言えます。
料亭でいただく会席料理の余白の多い盛り付けは上品で絵の構図そのもの、器までも鑑賞したくなるような雰囲気になります。
お客さんをもてなすときはそうすると見た目もきれいで高級感が出たりします。
それに比べて家庭料理は沢山盛り付けてお腹を満たしたい、余白が多いと単に「少ない」というマイナスイメージになりますよね。
明暗を対比させる構図・構成の絵画イラストをわかりやすく解説
光と陰影を描き分けて雰囲気を出す構図の絵画
色や形の対比によって絵の面白さが生まれてきますが絵画やイラストで一番大切なのが構図と明暗の対比、光と陰影の関係です。
わかりやすく言うと視覚の中で明暗は最も原始的な感覚と言われていますので絵画やイラストを描くときにはこれを一番に考えるということですね。
フェルメールは窓からさす柔らかな光を大切に描いた人です。
光のさしている上のほうは明るく、下のほうは暗く描き分けてあります。
明るい部分は比較的人物の陰がくっきりと描かれていて下のほうも暗い中に陰影が明確に描きこまれています。
この絵画ではまさに「窓から差し込む光と陰影」が重要なコンセプトとなっています。
人物をくっきりと浮かび上がらせる構図・構成をわかりやすく
この裸体のマハも窓から差し込む柔らかい光が女性の身体と敷物に当たっていますがここでは周りを暗くシンプルにして女性の身体をくっきりと浮かび上がらせた魅力的な絵画にしています。
この明暗の対比がこの絵をシンプルで素敵なものにしていますね。
つなぐ構図・構成を意識した絵画をわかりやすく解説
木や枝でつないだ構図・構成の絵画イラストにする
これも生徒さんの油絵ですが近景と遠景の全く離れたところにある2つの風景が2本の木の枝でつながっています。
向こう側にもこんな木があるのかなあと思わせるような感じの絵画です。
のどかで穏やかな風景ですがこの2本の木が縦にあることで緊張感のようなものが生まれて縦線と横線の対比が面白い構成になっています。
手前に小さく描かれた人物が繋がっている向こう側に行くように感じさせますよね。
同じ種類の形の交流で画面を一体化する構図・構成
女性が日本の着物を着ていますがバックにも日本的なうちわが描かれており、床にも日本のゴザのようなものが敷かれています。
類似したモチーフが全体に配されて画面に一体感とつながりが生まれていて柔らかい雰囲気の絵になっていますね。
わかりやすく言うとこれが西洋的な空間だったらまたガラッと雰囲気の違ったものになる、ということです。
グループ化する構図・構成の絵画イラストをわかりやすく
これはラファエロの有名な「アテネの学童」ですが古代ギリシャ・ローマの哲学者や学者などの賢人が一同に会しています。
57人を11グループに分けて描いてあります。
このように複数の人物や静物を構成するときはいくつかのグループに分けて整理するようにします。
ここでは中央の2人の賢人を中心にそれぞれの人物が変化と統一のなかで描かれています。
それにしても漆喰にフレスコでここまで描くとはラファエロの技量の凄さを感じますね。
リズム感のある構図・構成をわかりやすく
形の繰り返しでリズムを生む構図・構成をわかりやすく
通常絵には変化が必要ですので同じ方向の線が繰り返されるというのは避けたほうが良いのですがこの絵ように同じモチーフが繰り返されると安心感とリズム効果が生まれます。
同じ形を何度も見ることによってその形に慣れてくるのです。
これも生徒さん作品ですがこの場合は変化をつけるために建物や手前の草の縦線と背景の雲の横線、風車の羽の斜め線などを組み合わせた構成にしています。
鏡効果でリズムを生む構図・構成をわかりやすく
水面に上ほうの風景が写っている構図・構成の絵画は昔からよく描かれてきました。
これは子ども作品ですが水面に上が写りこむ鏡効果でリズム感が生まれ、また画面に一体感とやすらぎのようなものがでています。
この場合上が単純な形なのですがわかりやすく言うとこれが特徴のある複雑な形になるほどその効果が増す感じの絵画・イラストになります。
まとめ
■絵画・イラストで人物を描くときの構図のコツ
・真正面構図の絵画・イラストは迫力がでる
・絵画・イラストでは人物の視線の向きのほうの余白を多くとる
・人物の後ろの空間を広くとった絵画・イラストの構図は後ろの空間が過去を表わす
・絵画・イラストでは人物の身体の向きと視線の向きが違うと面白くなる
・複数の人物の顔の向きで違ったイメージの絵画・イラストになる
・人物の視線の高さで絵画・イラストの表情が違ってくる
・水平にこちらを見る人物の絵画やイラストは理性的な強さを感じる
■絵画やイラストのなかのモチーフを見る角度で違って見える
・モチーフを見上げる構図で描かれた絵画・イラストはモチーフが堂々と見える
・モチーフを見下ろす構図で描かれた絵画・イラストはモチーフを冷静に俯瞰した感じになる
・主要なモチーフを垣間見るように描かれた絵画・イラストの構図は雰囲気がでる
■モチーフの数が少なく余白が多い絵画やイラストは静かな雰囲気、モチーフの数が多く余白が少ない絵画やイラストはと賑やかな雰囲気になる
■絵画やイラストでは光と陰影を描き分けることがとても重要
■繋ぐ構図で一体感をだす絵画・イラストの構成手法がある
■形の繰り返しや鏡効果で描かれた絵画やイラストはリズムを生み出す
以上参考になれば幸いです。
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