こんにちは。
アートスタジオ海の中道さかいです。
油絵初心者の方は何をモチーフにしたら良いのでしょうか?
風景でしょうか?人物でしょうか?それとも何か空想画を描いてみますか?
思い切って抽象画に挑戦するのもアリかもしれません。
が一般的に油絵初心者の方は「静物画」から始めるのが普通というか一番無難ですね。
何故なら風景画は遠近法やパース(透視図)の知識が必要になり、近景、中景、遠景を描き分けるのが難しいというのがあります。
人物画はモデルが要りますし、写真を見て描くにしても肌の色を的確に表現するのは相当難しいです。
抽象絵画も色々な種類の抽象画があり表現方法があります。
初心者の方がいきなり描かれるのは殆ど見たことがありません。
(子どもコースでは天真爛漫にやってしまうことも・笑)
そこで初心者の方は何はともあれ「静物画」からスタートされるのが大きな失敗なくお勧めです。
今回は静物画とは何か、モチーフはどのように選べば良いか、初心者にありがちなモチーフ選びや配置の失敗例などをわかりやすく写真を使って解説してみます。
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そもそも油絵初心者にとって静物画とは何か
油絵を始めるにあたってはまずは油絵の具の塗り方、扱い方、塗る順番などを会得していかなければなりません。
その為には対象物はまず「動かない」ということが大前提となります。
動くものは「動物」、動かないものが「静物」ということになります。
「静物」を描いたものが「静物画」ですね。
「生物」とは違います。
その動かない「物」がモチーフということになりますがこれの選び方と配置の仕方の段階でその絵が成功するか失敗するかが決まります。
だけど失敗を恐れて1歩も前に進まないのではなく、何度も失敗を重ねながら色々なことを感覚で会得していくのが上達の道だと思います。
油絵に限らず絵というのはどんな種類の画材で描くにしても意外と「経験」でわかっていくことが多いですね。
しかも油絵は間違ったら上から描き直すことが出来るので意外と初心者の方には面白い画材と言えます。
油絵の静物画 その歴史
静物画は身近な食べ物を描く、といった感じでフレスコ画として古代ローマの頃から描かれていましたが中世キリスト教社会になると画題は聖書から持ってこられることが殆どとなり、絵画はキリスト教の為のプロパガンダ的なものになっていきました。
ルネッサンス頃から少し復活してきましたが依然として王侯貴族を描いたような人物画が主流でした。
ヨーロッパで静物画が盛んに描かれるようになったのは17世紀、18世紀オランダ・スペイン絵画からでした。
何故なら豊かになった商人達が自分の豪華な食卓を腕の良い画家に描かせてそれを自宅の壁に飾って満足するということになったからです。
静物画の歴史についてはまた別のブログで書いてみようと思います。
初心者が油絵で静物画を描くときのモチーフ選びの失敗
モチーフ 1個だけの油絵静物画の失敗例
初心者の方が静物画に挑戦するときは何かモチーフを1個だけ描くということから始めるのも良いと思います。
そもそも静物画というのは食卓を再現したことから始まっているようなところがありますから食べ物を描くのがわりと自然で失敗のないやり方です。
良く描かれるのは果物、野菜類ですがどちらかというと果物が食卓にあがりますよね。
りんごやレモンなどの柑橘類、桃、バナナ、洋梨、柿などです。
何でも描きたいものを描けばそこに感動がでて良いというのは一応大前提としてはあります。
これはたまたまパイナップルをもらったので写真に撮ってみました。
が、油絵というのはそもそも西洋で使われ始めたクラシックな画材ですのでどちらかというと西洋的でクラシックな感じのモチーフがしっくりきます。
パイナップルは南方系ですしちょっと複雑なので初心者の方は避けたほうが良いかもしれません。
(ゴーギャンなんかは南国の島で現地の人達を描いてますけどね)
この場合は対角線構図で決まりやすいという良い面もありますので水彩やアクリル、版画などでさらっと表現してみるほうが良いかもしれません。
どちらにしても油絵は結構何日もかかって重ねて描いていくので生の果物や野菜は腐っていくこともありますから最初に写真を撮っておくほうが良いと思います。
お教室に通って描く場合でも1週間に1回とか2週間に1回とかしか行かない場合は余計腐敗がすすみますね。
模型も場合によっては初心者も方は使って良いと思います。
勿論本物を見て描くのが大前提ですが、初心者の方がいきなり3次元の空間を2次元の平面にするのは結構ハードルが高いです。
いきなり複数のものを描くよりはまずは1個をじっくり描いてみて油絵の具に慣れる、混色に慣れる、陰色の作り方を考える、、というステップを踏んでみましょう。
それをやってみたら次は物2個に挑戦します。
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モチーフ2個の油絵静物画・組み合わせの失敗例
次はモチーフ2個に挑戦してみましょう。
以下うちの教室の生徒さんに色々とモチーフの組み合わせと配置を考えてもらいました。
これはリンゴとバナナを組み合わせたもので、モチーフそのものは良いのですが下のお盆の色味がちょっと失敗っぽいですね。
この場合もう少しはっきりした補色のブルー系の布などを下に敷いたほうがモチーフの果物がくっきりと浮き出て見えますよね。
初心者の方が油絵で静物画を描く場合はなるべく色々な色が入るようにしたほうが絵になりやすく失敗なく描けます。
モチーフ3個の油絵静物画・構図の失敗例
この写真はモチーフを3個組み合わせたものです。
(厳密に言うと下の布や籠もモチーフとなります)
この写真をそのまま絵にするとなるとちょっと周りの余白が多すぎますね。
余白が多いと静かで寂しい感じになります。
もう少し余白を少なくトリミングしたら生き生きとした感じになります。
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また出来ればモチーフは異なった素材や形、色味のものを持ってくるほうが良いですね。
自然物と人工物を組み合わせるのもポイントです。
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モチーフ4つの油絵静物画・色の失敗例
このモチーフ写真は物の配置や構図は良いと思います。
ほおづきの茎の斜めの線と葉っぱがX型に交差していて面白いですね。
ただ周りの新聞紙をそのまま描くのではなく全て白い布にしてしまうか、新聞紙をなくして木目の机などにしたほうが趣があって良いですね。
新聞紙だと英字新聞が絵になりやすいです。
モチーフ複数の油絵静物画・構図の失敗例
これはフルーツ複数のバスケットで絵になり易いというのはありますがが下の布が上に三角になっているのがちょっと気になりますよね。
布を真っすぐ普通に敷いたほうが良かったかもです。
布の斜めの折り目はあったほうが構図に変化がでます。
ただ籠を編んだ感じは初心者の方にはちょっとハードルが高いと思いますよ。
お皿のほうが良いかもですね。
これはモチーフの組み合わせは良いと思いますが写真の撮り方そのものが良くないですね。
ポットの縦線があまりにも斜めなので(写真はこうなりがち)描くときに修正して描くようにしましょう。
向こう側の筆立てに色々な色や形の筆があらゆる方向に立っているので絵に変化がでて良いモチーフと思います。
ウクレレの斜めの線が対角線上にあってインパクトの強い構図となっています。
底面と背景の色も良いと思います。
背景の黄色とリンゴの黄色が呼応しあっていますね。
これはモチーフの組み合わせは良いと思います。
自然のもの(果物)、ガラス瓶、コルク、金属の食器と木材の取っ手、本(紙)というバランスの良いものになっています。
油絵のモチーフらしくクラシックなものの組み合わせになっていますよね。
ただ背景にキッチンが入っていたり人がいたりするのでこの場合そういう邪魔なものは省くようにします。
風景画でも要らないものは省いて良いのですが静物画でも背景はひと工夫必要になる場合が多いです。
手前のモチーフの数が多くかなり情報量が多いので背景はシンプルにするほうが良いですね。
これは上の写真と同じくわりとクラシックなものの組み合わせで油絵のモチーフらしいです。
ここにプラスチックで出来たようなものが入っていたらがっかりしますよね。
なるべく自然素材な感じが良いですね。
オウム貝は太古の昔から生息していて時の流れを感じさせる油絵らしいモチーフです。
貝類は全般的に油絵のモチーフには適していると思います。
このオウム貝その他貝のセットは私が20年以上前に教室を始めた頃に「モチーフ」として購入したものです。(結構高かったです・汗・笑)
だけど貝が入るとぐっと絵に変化がでますね。
貝は全て独特の形をしていて独特の模様がありますから絵心がくすぐられる感じです。
全体に楕円形に収まっている安定した構図ですが初心者の方が下の布の模様を描き分けるのはかなり難しいのでその点はちょっと失敗かな、とも思います。
良い模様で色も素敵ですけどね。
でも全くそのとおりに描く必要はなく雰囲気が分かれば良いのですから挑戦してみても良いかもしれません。
ナイフの斜めの線が全体に緊張感を与えています。
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油絵静物画のモチーフに人形を使った場合の失敗例
人形も古くからよく油絵のモチーフに使われてきました。
帽子の楕円や広がった髪の毛やスカート、服の柄など変化に富んでいて絵になり易いと思います。
ただこの写真の場合、人形が外側を向いているのがちょっと気になりますね。
顔の向きはどちらかというと少し内側に向いていたほうが他のモチーフとの関連が感じられより安定した逆三角形構図になります。
ただちょっと外向いたのもうつろな感じがしたりして面白いとも言えます。
手前の花に色々な色が入っていて絵になりやすいモチーフです。
その点この写真は人形が内側を向いているので左の電気スタンドとの関連が感じられます。
スタンドも人形もクラシックな感じがして絵になりますね。
背景の色が人形のリボンと同じピンクで同系色の穏やかな絵になりそうです。
ただこの人形自体服の襞などがかなり複雑なので初心者の方には少しハードルが高いかもしれません。
これは花(造花)と人形を大胆に組み合わせています。
花も本物は枯れてきますからこういう造花も使って良いと思います。
花の色も1色ではなく2色あるので救われていますね。
初心者の方が花を描かれる場合は色の数が多いほうが失敗が少なくやりやすいです。
人形がすこし傾いているのも面白いと思います。
これは花は同じですが人形を替えています。
人形の服の色味が花の緑と呼応していてちょっと引き締まった感じがしますね。
これは人形を中心に果物、金属と木の入った時計、ポット、花と花籠と色味もバランスも良いと思います。
全体が楕円形に収まっていてわりと失敗のない組み合わせかなと思います。
色味は同系色で穏やかな絵になりそうですね。
これもクラシックなモチーフを揃えています。
花もちょっと凝ったアートフラワーです。
写真に撮るとどうしても縦線が斜めになりがちなので描くときに修正するようにします。
背景の色味をもう少し白い感じにしたほうが人形やランプが映えて良いかもしれません。
ですが左から光が差していますのでその光と陰影を描き分けたらとても素敵な絵になりそうです。
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まとめ
初心者にありがちな油絵のモチーフ選びと構図の失敗例
・同じようなものを持ってくる
・色や形の変化に乏しい
・モチーフが際立つような背景の色にしていない
・プラスチック系のものを持ってくる
・余白が多すぎる
・下の敷物やテーブルが趣のあるものになっていない
・モチーフそのものが複雑すぎる
・背景が複雑すぎる
・下の敷物の柄が複雑すぎる
・人形を入れた場合人形の顔が中心向きになっていない
・人形の服が複雑すぎる
等などでした。
以上参考になれば幸いです。
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