前回のブログ【絵の構図】8つの考え方(下にリンクがありますので是非ご覧ください)では絵を描くときの重要な構図の考え方を書きましたが今回は更に失敗しないための重要な7つの構図について書いてみます。
折角一生懸命描く絵やイラストが失敗に終わらないためには構図のどんなことに気をつけたら良いのでしょうか?
今回もうちの教室の生徒さんや私の作品をもとに解説してみます。
参考図書:構図エッセンス 視覚デザイン研究所他
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分割構図の絵やイラストの効果と失敗を考える
2分割構図の効果と失敗
前回のブログでも「縦横構図」としてこの写真を使いましたがこの写真の背景はほぼ2分の1のところに地平線があります。
この2分の1構図では静的な落ち着きを表現することができます。
もしもこれがもう少し高いところに地平線があったら失敗とまではいかなくても静かな雰囲気が少しが薄れてしまいますね。
これはうちの生徒さんの水彩色鉛筆作品ですが縦型で水面と空が半分半分の構図になっています。
構図的にきっぱり2つに分かれているので上下の質感の違いが際立っているのですが色は共通したものを使っていますのでバランスのとれた穏やかな絵になっています。
この場合上下の密度が同じくらいなのでこの場合は3分の1、4分の1とかにするとどちらかが窮屈になってちょっと失敗した感じになりますね。
3分割構図の効果
これも生徒さんのアクリル画ですが風景のなかで建物は約下3分の1の部分に収まっています。
建物が下のほうに集中することで夕焼け空が余計雄大に美しく見えます。
その美しい夕焼け空に教会の尖塔が映える構図になっていますね。
この場合はこれの地平線がもう少し高くなってしまうと下から見上げる尖塔が全部入らなくなり、夕焼け空の広さもいまいち表現できなくなってちょっと失敗した感じになりますね。
4分割構図の効果
これは中学生生徒さんの作品ですが下4分の1のところに地上の景色があり、空の青は上4分の1のところにある4分割構図となっています。
地上のビル群の緻密さが空の空気感と対比的ですね。
これも本人は無意識でやったことですが車が空に浮いているというシュールな構図を効果的にしていますし、安定感もありますね。
もしもこのビル群がもっと上のほうまできていたらいまいち車が高く浮いてる感が表現できなくて失敗ということになります。
3分割と4分割のミックス構図
これも生徒さんの色鉛筆作品ですが植物の実の部分が縦は3分の1、横は4分の1のところにある3分割と4分割のミックス構図になっています。
写真の分野では3分割構図は良く使われていますが4分割とのミックスも全体が落ち着いて安定よく収まる効果が期待できると思います。
絵というのはそもそも上の空きより下の空きが多いほうが構図が安定します。
なのでこの場合実の部分がもう少し下に下がってしまうと「下が詰まる」ということになって安心して見れる構図ではなくなって失敗ということになります。
黄金分割構図の効果
黄金比は古代ギリシャの建築で使われていた比率で最も美しい比例として多くの芸術作品で使われてきました。
フィボナッチ比とも呼ばれます。
これは縦横を1:1.618で区切る構図で約5:8になります。
なので全体を13に分けて5:8のところで縦横2本づつ線をひくと合計4本になりますがそのどこの交わりの部分に絵の中心がきても安定した構図となります。
ミロのビーナスのお臍から上と下も黄金比になっています。
また巻貝もこの黄金比で巻いていっていると言われています。
不思議ですね。
これも生徒さんの水彩作品ですが右下の中心となる花が丁度縦横5:8で分割した線の交わるところに位置する構図となっています。
この方は特にそれを意識して描かれた訳ではないと思いますがこの黄金比は最も好まれる比率なので無意識にそうしてあるのだと思います。
大抵の場合は少しくらい黄金比の左右にぶれても失敗ということにはならないと思いますがこの場合はこの一番下の花の位置がここでなかったらやはり上2つのもっていき先に困るということになって失敗っぽくなりますね、、。
この絵でも下の空きは十分にとってあって上は切れています。
下は必ず入れるようにするが上は切れても良い、というのが花などを描くときの構図のコツですね。
中心から少しずらす構図の効果
これは私が今から40年以上前超初心者の頃描いた油絵の静物画ですが中心となるポットを少し中心から左に外してみました。
風景画の中で木などを描く場合もど真ん中に描くのではなく中心から少し右か左にずらすと絵が落ち着きますよね。
日の丸構図の絵やイラストの魅力
画面の中心にモチーフをドーンと持ってくるやり方を「日の丸構図」と言います。
これはとても迫力のある構図です。
これも生徒さんの作品ですが非常に素直で分かり易く、また中のほうは空洞で開いているので重さもなく楽しく見れるイラストですね。
こういう日の丸構図ではなるべく背景をシンプルにして大事なモチーフが目立つようにします。
こういう構図で描かれた絵やイラストは今の時代SNSのアイコンとして使いやすいと思います。
この方のように最初からスクエアな紙に描くというのもアリですね。
これは私の油絵作品ですが日の丸構図と対角線構図を組み合わせています。
真ん中にある中心となるモチーフを斜め線で区切って上下質感の違うものにしています。
原発事故後の福島の海岸で拾った貝を描いたものですが貝は放射性物質を一心に吸い込んで海を浄化し、自らは死んでいくと言われています。
これは子ども生徒さん作品ですが中心にカメレオンがドーンといて迫力ありますね。
周りは滲みで処理しています。
本当にど真ん中でも良かったかなとも思いますがこれでも失敗という訳ではなくちょっと上に描いているのが却って魅力的な感じもします。
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遠近法を使った構図で絵やイラストの距離感をだす
これは私がユーチューブ動画「雲のある風景」作成の為に描いた油絵です。
近景、中景、遠景を意識して1点透視図的に描いています。
風景画は通常このように近景はコントラストを強く詳しく描き、遠景はコントラストを弱くうすめの色合いで描く、という描き方をしますが、中景に描きたいものがあるときは近景はさりげなく処理することもあります。
この油絵は生徒さん作品ですが後ろの古代遺跡がメインで言いたい部分なので近景の花はあまり詳しく描きこむことなくぼかしてもらいました。
近景の花を詳しく描きすぎると遺跡が言いたいのか、花が言いたいのかが分からなくなって焦点のぼやけた絵になってしまいます。
最初はもっと花をはっきりと描いてあったのですがソフトにしてもらったことで遺跡のほうに目がいくようになりました。
それにしても花の中に空の青と同じ青を入れてあることで絵としてのまとまりのようなものがでてとても魅力的な作品になっています。
遠近法に関してはまた別のブログで書いてみたいと思います。
ループ型構図で描かれた絵画やイラスト
これも上の絵を描かれた生徒さんの油絵作品ですが絵の中を視線がぐるぐると回るように誘導される構図で描かれてますね。
同じからすうりの絵でも高島野十郎の絵とは違って女らしい色使いで描かれていて構図に動きがありとても面白い仕上がりになっています。
葉っぱにもバックのローズ系の色味が使われていて素敵ですよね。
蔓が効果的に視線をループ型に誘導する役目を果たしています。
この蔓がなかったら失敗ということではないのですが面と線の対比効果のようなものが無くなってしまいますね。
これは子どもが台風を表現したコラージュ作品ですがこれも紐の動きが風の動きを表わしていて視線が誘導されて画面に動きがでています。
これもこの紐がなかったら失敗とまでは言わないでもちょっと変化に乏しいですね。
これは生徒さんのアクリル作品ですが楕円形の構図で視線がループ型に誘導されます。
この構図は伸び伸びとしていて画面が大きく見え、全体が充実した感じの濃い作品になります。
トマトからスタートしてレモン、小瓶、鉛筆立て、緑の瓶、コーヒーミルと視線が動いていきますが斜めの木の枝が動きを鎮めています。
ここで斜めの木が無かったら失敗というかちょっと締まりのない作品になりますね。
やはり丸いものと直線の対比は大事です。
主役と脇役のはっきりした構図で失敗を防ぐ
これは中学生生徒さんの油絵作品でまだ途中、今からクジラのお腹を白く塗ってお腹の線は削って表現する予定です。
この絵の中の主役は親クジラで脇役は子クジラやヒマワリの花ですね。
このように主役と脇役のはっきりした絵やイラストは迫力があって失敗しにくいです。
当然ながら主役になるものをしっかりと詳しく描きこみ、明暗の差の幅も大きく、コントラストもはっきりさせます。
脇役となるものはさりげなく、コントラストも弱めに描きます。
脇役のほうが詳しく描きこまれてコントラストも強いということになると脇役のほうが見る人の目に入ってしまって失敗ということになります。
バランスを考えた絵やイラストの構図にする
当然ながら絵はやはりバランスのとれた構図でないと安心して見れません。
敢えてバランスを崩すというのもアリかもしれませんがそれは応用編ですね。
この静物画も生徒さん作品ですが黄金比の位置に背の高い花瓶があります。
が他のモチーフが比較的背の低いものたちで上が空いてしまったので、壁に太目の線を描いて全体のバランスをとってみられました。
グレーの線は特に何であるかは説明的に描いてませんがその曖昧さが却って魅力的な感じもしますし、所々に入れられたグレーがモチーフどうしを繋げています。
花瓶の縦、テーブルの横、左の陶器の凹んだ円、右の貝の凸円、手前の貝や花の斜め線、テーブルの敷物の模様の縦横線で全体のバランスがとれています。
このフクロウの絵も生徒さん作品ですがフクロウの顔がほんの少し左によっているので右上の月でバランスをとっています。
この月が無かったら上の空きが広すぎて失敗ということになります。
直線と曲線を対比させる構図の絵やイラスト
これも生徒さん作品ですが花瓶や花の丸みとテーブルの直線の対比が魅力的です。
丸い形は柔らかい印象、直線はクールで厳しい印象があります。
両者を混在させることでそれぞれの性質が際立ち、強められて絵が生き生きとしてきます。
この絵は下のテーブルが無かったら本当に物足りないですよね。
なので風景画を描くときなども直線的な建物と曲線的な自然物の混在するような絵やイラストにするように心がけると良いですね。
まとめ
■分割構図には2分割、3分割、4分割、黄金分割などがあるが主なモチーフを中心から少しずらすという意識でもよい。大抵はそれほど意識しなくても直観的に成功することも多い。
■絵やイラストの中心にモチーフを持ってくる日の丸構図は迫力がでるが背景はシンプルにする。
■遠近法を使って距離感をだした構図は雰囲気のある絵やイラストになる。
■ループ型(楕円)で視線誘導する構図で描かれた絵やイラストはのびのびと充実した画面になる。
■主役と脇役のはっきりした構図にして失敗を防ぐようにする。
■当然ながら絵やイラストを描くときは全体のバランスを考えた構図にする。
■上の空きより下の空きを若干多めにする。逆は「詰まった」感じになる。
*日本画の掛け軸に描かれた絵は上の空きが多いこともよくあります。
■直線と曲線を混在させるとお互いの性質が際立ち絵やイラストが生き生きとしてくる。
以上参考になりましたでしょうか。
以下も是非一緒に読んでください。
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